転居、進学、昇進……ガラッと環境が代わり、イチから築く人間関係も増え、ナーバスになる新年度。何気なくやった行為が、思わぬトラブルを招くことも!

 だからこそ、知っておきたいのが法律。だけど、そんなのアリ? と、ツッコミたくなるものもチラホラ。「こんなことで罰せられるの!?」という、思わず吹き出す、オモシロ法律をご紹介!

 

ワンちゃんにも死亡届?

 いまや家族同然のペット。別れのルールも人間並み!?

「『狂犬病防止法』には、犬の飼い主は犬を登録し、鑑札をつけ、死亡したときは30日以内に市町村に届け出ることを定めた条項があります」

 悲しみの渦中でも提出は忘れずに。ちなみに、死亡届が必要なのは犬だけとか。

乾杯は日本酒オンリー

 条例とは、国の法律の範囲内で、県や区などの地方公共団体が独自に定めた法的なルールのこと。地域事情を反映したユニークなものも多い。

「乾杯条例を知っていますか?“日本酒で乾杯しよう”という趣旨で、'13年に日本三大酒どころのひとつ、京都市伏見で『京都市清酒の普及の促進に関する条例』が定められて以来、新潟をはじめ全国の酒どころに広がっています」

まさかビール党には罰則が!?

「何かお咎めがあるわけではありません。ただ、清酒で乾杯が暗黙の了解のようで、ビール、焼酎好きはつらいでしょうね」

ただの野次馬でも傷害罪!?

 ケンカで相手をケガさせたら、傷害罪。直接手出しをしなければセーフ? 「そうとは限りません。(ケンカの)勢いを助けた者は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金という内容の法律があるんです。“やっちまえ!”と煽るだけで処罰の対象に。野次馬根性はロクなことになりません」

ひとりHの罰は1回100ドル!

 不機嫌な人は逮捕される『笑顔条例』(アイダホ州)をはじめトンデモ法の宝庫がアメリカ。

「テキサス州では“男性の自慰行為は1回につき100ドルの罰金”という法案が議会に提出されました」

 同州は人工妊娠中絶を厳しく規制している。反発した女性議員が男性議員に対し、「女性の健康に対する仕打ちを振り返ってほしい」との皮肉を込めて出した法案だそう。

「万が一にでも成立したら、男性はみんなテキサス州から逃げ出してしまうでしょうね(笑)」

「泣ぐ子はいねがー」でアウト!?

 子どもを守る条例は全国に数あれど、注目は奈良県。

「公共の場などで、子どもに“言いがかり”や“つきまとい”行為を禁止しています。道路で子どもを叱って泣かせでもしたら、肩身が狭いうえ、条例違反になるおそれが」

 じゃあ、秋田の『なまはげ』は?

「奈良県で、“泣ぐ子はいねがー”と叫びつつ追いかけたら、禁止している“言いがかり”や“つきまとい”になるかもしれませんね(笑)」

 場合によっては30万円以下の罰金などが科せられるそう。

500円玉貯金じゃ買い物できない?

 コツコツと貯めた500円玉貯金。200枚あるから、この10万円でアクセサリーのひとつでも……と思ったら、

「『通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律』の第7条に“貨幣は、額面価格の20倍までを限り、法貨として通用する”という規定があります。 法貨とは、受け取りを拒絶できない通貨のこと。つまり、500円玉なら21枚以上は、受け取りを拒否されても文句は言えないのです」

 ATMで入金できる硬貨の枚数も、500枚、100枚など制限があるので注意!

<教えてくれた人>
なかむらいちろうさん
法律問題研究家。情報学博士。ウェブサイト「変な法律」を運営するほかTwitterでは独特の感性で厳選した法律関連ニュースを発信中。自治体や企業での法律講習も行う