病的口臭
口の中の病気(虫歯や歯周病)や全身の病気が原因になって起こる口臭です。病気が原因になっているため、口臭の程度がひどいことが多いのですが、慢性的な病気になっているために本人は慣れて気がついていない場合が多いとされています。
(1)歯周病
舌苔とともに、口臭の原因の大きな割合を占めています。歯周病菌が出すニオイ物質が「ドブのようなニオイ」を発生させます。歯周病が進行していたり、歯石が多くついていると特に強い臭気を発生させます。
(2)虫歯
軽い虫歯はにおうことはほとんどありませんが、膿(うみ)をためてしまうほどに進行した虫歯は、ひどい悪臭を放ちます。
(3)全身の病気
蓄膿症、糖尿病、肝炎、腎臓病、消化器系疾患、呼吸器系疾患などが口臭を引き起こすことがあります。口臭のうちの10%くらいがこれに当たるとされています。病気によりそれぞれ特有の臭気がします。
口臭が気になる方が気をつけるべき5つのポイント
(1)歯磨きは1日に2〜3回、フロスは1日に1回
歯磨きは朝と夜は必ず、昼はできるなら行いましょう。歯と歯の間の汚れは歯ブラシでは落とせませんので、夜寝る前にデンタルフロスを通すようにしましょう。
(2)舌苔が厚く付いているときは取り除く
舌苔が多く付いていると口臭の原因になるので舌ブラシでそっとなでるようにこすって落としましょう。うっすらついている場合は正常で、口臭の原因にはならないため、落とす必要はありません。舌苔も落としすぎると逆に口臭の原因になりますので気をつけましょう。
(3)唾液を出す
口の中が唾液で満たされているだけで口臭予防になります。唾液をよく出すためには「よくかむ」「よく話す」ことを心掛けましょう。口が乾いているな、と思ったらキシリトールガムをかんで唾液を出すと即効性があります。
(4)プロフェッショナルケアを受ける
自分で行う歯磨きでは隅々まで汚れを落とすことができません。取りきれない汚れがニオイを放つ原因になりますので、定期的に歯垢や歯石を歯科医院で取り除いてもらい、歯や歯ぐきの健康状態もチェックしてもらって悪いところは早めに治しましょう。
(5)健康に気を遣う
健康を損ねると口臭は出てきやすいものです。十分な睡眠、規則正しい生活、バランスのとれた食生活、ストレス解消を心掛け、健康体を目指しましょう。
口臭のほとんどが口の中からきていることから、お口の健康に気を遣うこと、口を清潔に保つこと、また、生理的口臭の大きな原因となっている口の乾燥を防ぐことで、ほとんどの口臭は解決できるといっていいでしょう。
それができているにもかかわらず、口臭を指摘されるという場合には全身的な病気が潜んでいる可能性もあるので、口臭が気になる、という人は一度歯科医院で相談してみるとよいでしょう。
<著者プロフィール>小林保行(こばやし・やすゆき)◎歯科医師/キーデンタルクリニック院長。2004年東京歯科大学歯学部卒業、表参道の総合歯科医院に勤務。2006年市ヶ谷の歯科医院にて副院長として勤務。2008年に赤坂見附駅から徒歩1分の場所にキーデンタルクリニックを開院しました。開院以来、「確かな技術で納得の治療を」モットーに、顎や歯の場所を細かく分析をし、歯だけでなく口周りを総合的に診断。現在はムシバラボというサイトを立ち上げ、歯や口周りの情報を発信。主な資格はDHA岩田セミナー認定医、総合治療セミナー「一の会」認定医、クリアアライナー矯正認定医、日本顎咬合学会所属、日本インプラント学会所属、消防庁認定、救命技能講師修了。