「最初の課題は場所とボランティアの確保、食材の調達。クリアできたら無理のない頻度で細く長く活動することが肝。大切なのは子どもの声を聞き、向き合うこと。子どものためと思っている支援が大人の押しつけだったら、子どもは来なくなります」(同)
『子ども食堂』の運営者の多くが同じ悩みを抱えている。これらの壁にぶち当たり、活動への不安と直面、継続をあきらめた団体もあるそう。
おじさんが来ても大歓迎
徳島県で『子ども食堂』を運営していた森哲平さんらは4か月で撤退した。問題は、場所とボランティアの確保。
「バーとして使っていた店舗を借りたので、コンロは少なく、食事するイスも高く、落ち着きませんでした。運営メンバーは仕事を持っていて、シフトの調整が難しかった」
決断はスパッと。その後、森さんは新たに試みを始めた。
「月に2回。おでんに限定してやっています。食材も集めやすいし、栄養バランスもいいし、煮込むことで衛生面のリスクもクリア、1人でもなんとか運営できます。子どもだけでなく大人、例えば、おじさん20人が来ても大歓迎」
児童福祉の専門家で沖縄大学名誉教授の加藤彰彦氏は、
「団体の事情で運営をやめてしまうと、せっかく居場所ができ食も精神面でも安心していた子どもたちはがっかりして、大人に対し、あきらめの感情を持ってしまう」
と指摘。しかし、ボランティア頼み、資金も自費では疲弊する可能性は否めない。
「例えば昔から貧困対策を続けるフードバンク、キリスト教教会や仏教寺院や組織がしっかりしている生活協同組合といった団体と連携するなど、団体に合った方法を考え、持続できるよう模索してほしい」と、加藤名誉教授はアドバイス。
前出・三宅さんも呼びかける。
「『子ども食堂』を一過性のブームで終わらせてほしくない。『子ども食堂』がダメでも、違う選択肢もあります。子どもたちに関わり続けてほしい」