「ドームは札幌市が所有しています。しかし、五輪では道民のための警備、医療など一般的な行政サービスを実施します。道警は『さっぽろ雪まつり』でも雑踏警備などを行ってきましたし、道の所有物じゃないからといって何もしないことはありません」(北海道オリンピック・パラリンピック連携室)
所有する札幌市は、
「おそらく改修の必要はない。細かい要望が組織委から出てきたら対応を考えます」(同市の国際大会推進課)
神奈川県藤沢市の『江の島ヨットハーバー』ではセーリング競技が行われる。恒久施設の整備を計画している。
「江の島大橋は渋滞緩和のため'19年度をめどに2車線から3車線に増やします。ヨットハーバーに整備庫がないので、そういった機能を備えた施設と給油施設をつくります。競技ヨットは風を受けて走りますが、コーチボートや運営艇などエンジンを積んだ船はいま携行オイル缶を使っているので不便なんです。いずれも責任を持って県の予算でやります」
と同県セーリング課。
一宮町の予算は限られている
東京五輪で初めて採用されるサーフィンは千葉県一宮町の釣ケ崎海岸が会場になる。
組織委の森喜朗会長(79)と同県の森田健作知事(67)は7日、現地を視察した。同海岸はサーファーの聖地として知られ、地元出身のプロサーファー大原洋人選手(20)らが迎えた。
森会長は居合わせたサーファーを呼んで「(サーフボードの)長さは決まっているの?」などと質問し、乗り方の説明を聞いている途中で「そのまま行け〜っ!」と海を指さしてふざけるシーンもあった。
九十九里浜の南端にある一宮町は人口約1万2000人の小さな町。会場最寄りのJR上総一ノ宮駅は線路の片側にしか出口がなく、踏切を渡らないと海へ行けない。輸送にかかわる問題だが、同町の予算は限られている。
「現状で釣ケ崎海岸にあるのは排水の上澄みを循環させる“男女別エコトイレ”だけで更衣室はない。海水浴場ではないので海の家もない。シャワーは温水ではなく水で、1本の管に2つシャワー口があるだけです」(同町職員)
千葉県自然保護課によると、県は同海岸に約1ヘクタール規模の駐車場と広場を整備する予定で、6月議会に補正予算として設計費4200万円を提案する。一宮町はこの広場に五輪開催地のレガシー(遺産)として更衣室や休憩所などを併設する『サーフィンセンター(仮称)』をつくりたい考えだ。350億円の一部を負担する余裕などない。
東京都は350億円について「あくまで規模感を示したもの」(オリンピック・パラリンピック準備局総務課)と弁明する。組織委は増収努力をはかるとしている。
「スポンサー料、グッズ売り上げ、チケット販売で少しでも多くの増収をはかる」と同委・戦略広報課。
荒稼ぎに期待するしかない。