(左から)坂口健太郎、常盤貴子、竹内結子

「ここ最近、弁護士ドラマが増えていましたが、今クールでは3本もカブっています」(テレビ誌ライター)

 まず、ふたケタの視聴率で好発進した弁護士モノが、常盤貴子主演の『グッドワイフ』(TBS系)。常盤演じる元・弁護士の主婦が、唐沢寿明演じるエリート検事の夫が汚職事件に巻き込まれたことで、法曹界に復帰するというストーリーだ。

「吉田鋼太郎さん、小泉孝太郎さん、水原希子さんと共演陣も豪華で、放送前から話題になっていました」(同・テレビ誌ライター)

 一方、天才弁護士役の竹内結子が主演を務める『スキャンダル専門弁護士QUEEN』(フジテレビ系)は、法廷シーンがないという異色作だ。共演は水川あさみ、中川大志、バカリズム。

「日本テレビ系列で放送中の『イノセンス』は、坂口健太郎さんと川口春奈さんが演じる若き弁護士コンビが科学者やジャーナリストたちの協力を得て、冤罪事件に立ち向かっていくリーガル・ドラマです。3本とも設定は違いますが、主演の職業はすべて弁護士。視聴率を食い合ってしまうのではないかという懸念の声もあります」(同・テレビ誌ライター)

視聴率をとれる“金脈”

 なぜ“リーガル・ブーム”が巻き起こったのか。

「昨年10月クールの連続ドラマでもっとも好調だったのが、米倉涼子さんが主演を務めたテレビ朝日系の『リーガルV』で、平均視聴率15・7%。織田裕二さんと鈴木保奈美さんの27年ぶりの共演が話題となったフジテレビ系の『SUITS』も弁護士モノで、平均視聴率10・8%と健闘しました」(スポーツ紙記者)

 さらに'18年に放送された連続ドラマの中でもっとも平均視聴率が高かったのも、松本潤が主演を務めた『99・9-刑事専門弁護士-』(TBS系)だった。

1話完結モノですから、1回見逃しても物語についていけて、数字も落ちにくい。制作サイドとしては“視聴率をとれる金脈”を見つけた気になっているのかもしれません」(同・スポーツ紙記者)

 脚本家が大御所だったり、名前だけで視聴率がとれる俳優の出演などの例外を除いて、制作サイドは細かい統計をもとにしてドラマ企画を決定しているという。

「10代、20代のテレビ離れはかなり進んでいて、現在の大半の視聴者は40代以上。視聴率を稼ぎたいなら、この層に受け入れられるドラマを制作することが大前提になっています」(制作会社スタッフ)

 もどかしい恋愛モノや学園モノが以前より少なくなっているのは、視聴者層の変化によるものだという。

「弁護士ドラマで繰り広げられるのは、いわゆる勧善懲悪の世界です。かつては江戸時代を舞台にしたTBS系の『水戸黄門』や『大岡越前』、テレビ朝日系の『遠山の金さん』はお茶の間の定番ドラマでした。警察を舞台にした日本テレビ系の『太陽にほえろ!』、テレビ朝日系の『西部警察』、フジテレビ系の『踊る大捜査線』は国民的な人気ドラマといえます」(テレビ局関係者)

 さらには舞台がオフィスに変わり、『ハケンの品格』(日本テレビ系)、『半沢直樹』(TBS系)といったドラマが生み出されてヒットした。

舞台を変えても、結局は善が悪を懲らしめるという“わかりやすいストーリー”がウケるんだと思いますよ」(同・テレビ局関係者)

 弁護士ドラマが人気を集めているのは、社会的背景も影響している。