読売巨人軍の坂本勇人内野手と大城卓三捕手が新型コロナウイルスに感染していたことが明らかになった。二人は球団が実施した抗体検査を受け、すでに抗体ができていることが判明、PCR検査を受けたところ“微陽性”という判定が出たという。
この“微陽性”というのは新型コロナ関連のニュースで初めて出てきた言葉だが、読んで字のごとく、わずかに陽性という意味だ。
現在は陰性の結果も出て、今後は第三者に感染させる危険性もなくなったのでひと安心ということだが、無症状のまま、知らず知らずのうちに他人に感染させている可能性もあり、多くの人にPCR検査や抗体検査を施す必要が明確になったといえるのではないか。
“微陽性”を強調するスポーツ紙
“微陽性”とはいえ二人の新型コロナ感染が発覚したことで、19日からのシーズン開幕が危ぶまれていたが、日本野球機構(NPB)は、「影響がない」という見解を示している。
「無観客では入場料もグッズの売り上げなどもない状態で、球団側としては大きな痛手となってしまいます。球場の維持費もばかになりませんから、どうにかして早く開幕までこぎつけたいという思いはあるでしょう」(スポーツ紙記者)
そして、“限界”がきているのは球団、選手だけではない。
「いちばん苦しいのはスポーツ紙ですよ。柱となるスポーツの記事を掲載できないわけですから。試合がないうえに、接触禁止で選手への取材もできない状態です。スポーツ紙のもうひとつの柱である芸能ニュースも、イベント自粛となって書くことがないですからね。これで競馬がなくなったら本当に厳しい」(同・スポーツ紙記者)
確かに、坂本らのコロナ感染が発覚した当時の報道は、「わずかに基準をそれた“微陽性”である」ことを強調しているように見受けられるものもある。開幕が遅れて困る気持ちがタイトルから透けて見えてきはしないだろうか。
《巨人 無症状の坂本は「正直、驚きました」大城とともにコロナ「微陽性」》(デイリー)
《巨人坂本、大城「微陽性」開幕戦は間に合う見込みも》(日刊スポーツ)
シーズン開幕で助かる人たちは多いということだが、それでも不安要素が皆無とは言い切れない。巨人軍が一軍選手および首脳陣、スタッフらの抗体検査を実施したことで、残りの11球団も実施すべきだという意見がネット上でも多く見られる。当然の意見だと思うが、現状では各球団が全選手に検査を実施する方針という話は聞こえてこない。
「各球団の内情をいえば、“実際に検査して感染者が発覚すると困るので、できればやりたくない”というのが本音ですね」(球団関係者)
抗体検査、PCR検査を実施して、たとえ“微陽性”だとしても、新型コロナウイルスに感染した選手が各球団から出てきた場合、そのまま開幕して大丈夫なのかという不安が残る。かといって、検査を実施しないとなれば非難の声が出てくるのは明らかだ。
開幕までまだ時間はある。この時点で選手、関係者全員の検査を実施することが得策なのでは──。
<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>
◎元フライデー記者。現在も週刊誌などで取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。