女優・冨士眞奈美が古今東西の気になる存在について語る当企画。今回は、元中日ドラゴンズの名選手、落合博満とその妻、信子さんについて。「悪妻」とも呼ばれた夫人との思い出とはー。
第5回 中日ドラゴンズに浮気
私は子どものころから巨人ファン。だけど、ドラゴンズに浮気をしていた時期があった。
私の野球人生は、長嶋(茂雄)さんとともにあった─といっても過言ではないくらい巨人が大好き。'74年に長嶋さんが監督になると、選手時代とは違う長嶋監督の魅力に一喜一憂していた。ところが、川上(哲治)さんはじめ巨人のOBたちが不当な仕打ちをしていたことが発覚し、'80年に長嶋さんが解任されると、あまりのショックで半病人状態になってしまったほど。
当時、私は女優を休業して専業主婦。楽しみといえば長嶋さんのお姿を拝見することだけ。巨人に対する失望は大きかったの。
でも、プロ野球を嫌いになることはなかった。応援対象を失っていたとき、たまたま長嶋さんが、「中日の野武士野球が面白い」と書いていらっしゃるのを見て、以来ドラゴンズに注目し、すっかりファンになってしまった。スポーツ新聞も東京中日スポーツに変更。長嶋さんのおかげでもあるから、いわば“長嶋派ドラゴンズファン”……と、自分に言い聞かせているけど、巨人から浮気していたことは間違いないわね。
現役時代の落合さんとも交流を重ねさせていただいた。とりわけ、奥様である信子さんとは楽しいひと時を過ごさせてもらいました。ナゴヤ球場で観戦。福嗣君出産直後の信子さんを名古屋のご自宅に慰問したり。今ではナレーター、声優として立派に活躍されている福嗣君、いや福嗣さんを見ると、私までうれしくなってしまう。