目次
Page 1
ー ダメな夫を選んだのは自業自得なのか
Page 2
ー 悪いことをすると本当にバチがあたるのか?
Page 3
ー 他罰や他責の思考はヤバいブーメラン
「ヤバい女になりたくない」そうおっしゃるあなた。有名人の言動を鋭く分析するライターの仁科友里さんによれば、すべてのオンナはヤバいもの。問題は「よいヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、仁科さんがさまざまなタイプの「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」を分析していきます。

第77回 菜々緒

 映画『七人の秘書 THE MOVIE』の公開直前イベントが開かれ、女優・菜々緒らが出席し、「秘書のお悩み相談会」としてSNSで募った一般人のお悩みに答えたそうです。

「靴下を脱ぎっぱなしの旦那をこらしらめるには?」というお悩みに対し、菜々緒「そういう旦那さんを選んだのは、自業自得。でも、靴下を片づけてくれる人を選んだわけじゃないので、話し合って解決策を探すのがいい」と答えたそうです。

ダメな夫を選んだのは自業自得なのか

 菜々緒は女優として、強い女、一筋縄ではいかない女を演じていることから、キャラに沿って、お悩みを一刀両断して見せたのでしょう。しかし、「そういう夫を選んだのは自業自得」発言は好感度が落ちかねないのではないでしょうか。一般人の世界でも、これを言えば友達と決裂する遠因ともなりますし、何より自分自身をも追い詰めてしまう可能性があるヤバいひと言なのです。今回はなぜ「そういう夫を選んだのは、自業自得」と言ってはいけないかについて、考えたいと思います。

 第一志望だった会社に入ったとか、憧れの職業についたものの、いざ働きはじめたら「あれ、何だか思っていたのと違う」と思うことはあるでしょう。これは会社や仕事を選び間違ってしまったという自業自得なのでしょうか? 私はそうは思いません。「理想と現実」という言葉があるように、どんな会社、仕事にも「オモテとウラ」があり、概して外には「いい面」しか出てこないものです。ですから、「実際に働いてみないと、わからないことがある」のは当たり前だと思います。

 それは、結婚も一緒だと思うのです。結婚前はお互いをよく見せようと努力しますが、結婚とは男女が“楽屋”を一緒にするようなものですから、だらしなさも含めたお互いの意外な一面に結婚後に気づくということは、どこの夫婦にもあることではないでしょうか。そんなときに「夫を選んだのは、自業自得」発言を独身女性がした場合、既婚女性は「結婚していない人には、わからないだろうな」と感じるでしょうし、場合によってはそれを率直に口にするかもしれません。そうすると、独身女性は「マウンティングされた」とイラっとするでしょう。既婚女性も「こういう話はやっぱり結婚している人に聞いてもらおう」と距離を取る決断をしないとも言い切れない。「自業自得」発言は、友情を分断する遠因となりうるのです。