回転寿司店での他人の寿司盗み食い、醤油ボトルの注ぎ口舐め、カラオケボックスなどでの炎の噴射、など相次ぐ客側の迷惑行為動画。SNSでの迷惑動画は店対象にとどまらず、人対象のものも存在するーー。
今回SNS上で拡散しているのは、あのおもちゃのピコピコハンマーを用いてのもの。
20秒の動画の内容はこうだ。
どこかのショッピングモール内、ダウンを着てピコピコハンマーを持った10代とおぼしき少年が、まず撮影者側に合図を送る。
屈託のない笑顔が印象的だ。
撮影者も少年の仲間の模様。
そしてピコピコハンマーを持って、ショッピングカートを押した老女につかつかと近づいていき、うしろからハンマーでポコり。
「ピコッ」という高い音が鳴り響く。
そしてきた道を歩いて撮影者側に戻っていく。
老女はすぐに気づき、追いかけて少年らに抗議する。
「○○しとるかコラ!誰かわかっとんのかおばちゃんが」(老女)
「誰すか?」(少年側)
老女に猛抗議される少年を見て別の少年が「詰められとるやん」。
「フッフッフッ」という笑い声も。
少年側に怒っているような男性の大声も入り、動画はそこで終わっている。
SNSではこの動画に対し、
「笑えんよ」
「年配にしかいきることが出来ないんだろうな」
「なんか悲しくなってきた」
など呆れる声で溢れていた。
イタズラの延長線上と見えなくもない行為だが、後味は悪い。この行為について法律上の見解を弁護士に聞いた。
「当該動画に撮影されたポリエステル製などの玩具(通称ピコピコハンマー)で他人の頭部を殴打する行為は人の身体に対する不法な有形力行使ですが,当該動画を見る限り傷害結果を生じさせるには至らなかったようなので,暴行罪(刑法208 条)に当たると考えられます。行為者は若年とみえるところ、その者が検挙された場合において、その年齢が 14 歳以上20 歳未満だったときは、少年法上の犯罪少年として家庭裁判所に送致され、調査又は審判の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認められれば検察官送致され、刑事裁判を受けることになる可能性があります」(藏王法律事務所 伊藤蔵人弁護士)
世の中に挑戦的になり「イキる」のも多感な思春期の特徴だ。
そうした行為を仲間内で自慢しあう傾向もあるだろう。
しかし、少年だからといって何も責任が生じないわけではなく、こうした行為を撮影しSNS上にアップするとしたら事はたちまち重大にーー。
学校の場でも道徳はもとより今こそメディアリテラシーの教育が求められているといえよう。