目次
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ー 拍手喝采の筆頭夏ドラマ
Page 2
ー 『ハヤブサ消防団』はスレスレまでしっかりと描いた
Page 3
ー 話題作『VIVANT』はテレビドラマの希望
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ー 図星すぎる男性の勘違いを描いたドラマ ー きれいごとを言わない本気度

 

 灼熱の7月に始まった夏ドラマも彼岸を過ぎ、すべてが最終回を迎えた。果たして、その出来栄えのほどは?

「例年、夏ドラマは不作という印象がありました。各局、春と秋は力を入れるのに夏は……。そんな感じだったのに、今年の夏ドラマは“どうした!?”というくらい豊作だらけでしたね」

 と語るのは、ドラマに精通するライターの田幸和歌子さん。『週刊女性PRIME』では毎クールの“がっかりドラマ”企画がおなじみになりつつあり、過去には田幸さんにばっさり斬ってもらったこともある。しかし今クールは“よかった”“面白かった”が多数。そんな拍手喝采ドラマを見ていこう。

拍手喝采の筆頭夏ドラマ

 田幸さんが筆頭に挙げたのは『彼女たちの犯罪』(読売テレビ・日本テレビ系/TVerお気に入り数38.8万人)と『ハヤブサ消防団』(テレビ朝日系/TVerお気に入り数87万人)。

「両作とも放送が木曜夜でミステリー要素が強く、続きが気になってたまらない作品。できれば曜日をバラしてほしいくらい、木曜夜は楽しみで忙しかったですね(笑)」(田幸さん、以下同)

『彼女たちの犯罪』出演の前田敦子
『彼女たちの犯罪』出演の前田敦子

 『彼女たちの犯罪』は3人の女性(前田敦子、深川麻衣、石井杏奈)による偽装自殺の真実が、次第に明るみになっていく。

完成度で言ったら今期ナンバーワン! 登場人物は少なく、場面も限られた中で作っているにも関わらず、隙がなく、運びも上手く、完璧な出来でした。何の接点もないように見えた3人の日常が絡み合い、それぞれの意外な面が次々と見えてくるところも面白かったです。

 偽装自殺というとんでもないことに手を染めた3人ですが、それぞれが抱えていた思いは、ただ普通に幸せに暮らしたかっただけ。その切実さも応援したくなってしまいましたね。のちのち“あの違和感はこういうことだったんだ”と結びついていく快感もありました。脚本の良さ、カメラワークを含めた見せ方の上手さ、役者。すべてが噛み合っていました」

 視聴率は明かされておらず、TVerのお気に入り数は38.8万人。数字的には大ヒットとはいえない気もするが、

「前田さん、深川さん、石井さん。3人ともガールズグループ出身で“アイドル女優のドラマ”と最初から敬遠してしまった人もいたんだと思います。もったいないですね。初回を見たときには“前田あっちゃんのドラマになりそう”と思ったくらい、抑圧された生々しい演技が光っていて。その後深川さん、石井さんの熱演もとてもよく、役者さんがそれぞれ際立っていた。クズ夫役の毎熊克哉さんもすごくよかったです(笑)」