以前は平均視聴率20%、30%超えも珍しくなかったが、近年は10%台がアベレージとなった大河ドラマ。巷には「大河離れが起きているのではないか」という意見もある。そこで編集部では「大河にがっかりしている視聴者が多いのでは?」と、平成以降に放送された全36作についてのアンケートを実施した。
ところが戻ってきたアンケートを集計すると「どれも面白く、がっかりさせられたものはなかった」(東京都・58歳・男性)など「がっかり大河はない」と答えた人が全体の約6割に当たる622票もあり、一番多い声だったのだ!
この結果に「大河ドラマはその時代のトップを走る脚本家が書き、当代の人気俳優が数多く出演、そして精鋭のスタッフによって制作されるので、面白い作品のほうが多いんですよね」と話すのはテレビ番組に詳しいライターの成田全さん。
「ただ長年、大河を見続けているファンには一家言ある方が多いので、どうしても今回の作品は自分には合わない、史実と違う解釈はいかがなものか、話が間延びしていてつまらないなどと思われることがあります。
また登場人物が同じだと過去の作品と比べられる場合もあるので、それらが“がっかり”につながっている側面もあります」(以下、成田さん)
大河ドラマがっかりランキング
ではランキングを発表しよう。9票で同率の11位には「歴史上の人物の思いよりも、配役を立たせることばかりでストーリーがなかった」(大阪府・42歳・女性)
「すべてスタジオ収録で、合戦の様子もスタジオとわかってしまう文化祭レベルの作り」(神奈川県・46歳・男性)
と厳しい意見を集めた'05年放送の滝沢秀明主演『義経』と、'89年放送の大原麗子主演『春日局』が入った。
「子役時代の神木隆之介さんが牛若丸役で見せた大人顔負けの演技、そして滝沢さんの美しい義経と松平健さん演じる勇猛な弁慶の壮絶な最期が話題になりました。
スタジオ収録ならではの絵巻物のような独特のきらびやかな演出がお気に召さなかったのですかね? 橋田壽賀子さん脚本の『春日局』は元日から放送されたのですが、これが今も破られていない大河の初回最低視聴率14.3%を記録しました。
さらに昭和天皇崩御で第2回の放送が翌週に延期されたのですが、ここで一気に高視聴率をたたき出し、その後も『オレたちひょうきん族』で明石家さんまさんが大原さんをモノマネしてコントにするなど話題を集め、平均32.4%の視聴率で歴代3位のヒットを記録。昭和最後にして平成初の大河でした」
8位には10票を集めた3作品。'03年放送の七代目市川新之助(現・十三代目市川團十郎 白猿)主演の『武蔵 MUSASHI』には、
「威勢がいいだけで、ストーリーが成り立っていない」(埼玉県・42歳・女性)
「主役が武蔵に合っていなかった。ストーリーも盛り上がりに欠けた」(福岡県・65歳・女性)
と演技、展開共に不満が爆発。
'94年放送の三田佳子主演『花の乱』には、
「ストーリーが単調でつまらない。あくびが出そうだった」(大阪府・49歳・男性)
また東山紀之が主演した'93年放送『琉球の風』も入った。
「日野富子の生涯を描いた『花の乱』、初めて沖縄が舞台となった『琉球の風』は、大河の放送が半年ほどに短期化された時期の作品で、もう1作の'93年放送の渡辺謙さんと村上弘明さんが主演した『炎立つ』を合わせた3作品はその前後に比べ明らかに視聴率が低迷したので、大河は1年かけてやってほしいという視聴者が多かったということでしょうね」