番組で優勝した直後に今の事務所に所属したが、それでもオーディションにはなかなか受からなかったという。
「当時は普通のモノマネをしていたんですけど、ネタを50個やってもどれも似てないと言われました。それと、永遠に“誰々のモノマネしている人”って呼ばれ続けるのは嫌だなと思って、やり方とか形を変えてモノマネの枠を超えないといけないと思っていたんです」
そんなとき、自宅でモノマネ番組を見ていると、あることに気づいた。1分から30秒、さらに15秒とネタの時間がどんどん短くなっていったころだった。
「モノマネ中に本人画像がワイプで画面の端に出てくるんです。それで“今この人のモノマネをしているのか”とわかるのですが、いちいち目線を移して確認しなければならない。その作業をする数秒間さえも短縮するためにはどうしたらいいかと思ったときに、やっとアゴモノマネに行き着いたんです」
長瀬智也、井筒和幸監督、田村正和、竹中直人などのアゴモノマネを生み出し、テレビに呼ばれる機会も多くなった。すると生活にも変化が。
「知らない番号から電話がかかるようになり、カビだらけの家賃5万円から11万円の部屋に引っ越しました」
しかし今は、全盛期に比べるとテレビで見かけることも少なくなった気がするが……。
「年末特番などで、年に1~2回くらいです。営業も年イチぐらい。昨年は原口あきまささん主催のディナーショーに出演したくらい。今年はまだゼロです」
アゴモノマネの仕事が激減した今、どうやって生計を立てているのだろう。
「現在の仕事は9割くらいラーメン屋さん。ほとんど店にいますよ。4年前に『東京ラーメンショー』で新人賞をとったんです。それからタダでお店を出せるというオーディションを受けて、ラーメンに関する論文や経営理念を勉強した結果、晴れてラーメン屋さんを始めたんです」
渋谷のラーメン激戦区のビルにある『鬼そば藤谷』は、たくちゃんがオーナーの店。はたして儲かっているのか。
「うーん、儲かっていますかねぇ~?」
と首を傾げるが、
「親に少しずつですが、仕送りはしています。この前、高級マッサージチェアも贈りましたよ」
親孝行できるくらいは稼いでいるみたい。ただしラーメン屋さんが生活の中心だからといって、アゴモノマネの歩みを止めてはいない。
「レパートリーは300種類。現在は3Dアゴモノマネを制作中です。3週間前から始めました」
さらに今ではライバルもいるという。
「ざわちんとコラボしたいです。いや、腹の底を言うと、負けたくないです。僕はツイッターで《コラボしたらどうですか?》というファンの気持ちをリツイートしているのに、ざわちんはガン無視するんですよね(笑い)」
これからの活動への意気込みも語ってくれた。
「年1回の単独ライブに力を入れたいです。進化したお笑いエンターテイメントの発明をしていきたいです」