「もう20年近くいますかね。PCの基礎などを教える情報の先生は何人もいますが、人気ナンバーワン。指導熱心で、授業以外でも質問を受けたら丁寧に答えるような先生でした。とにかくまじめを絵に描いたような人です。口数は少なくて穏やか。何もなければ、65歳ギリギリまで……あと10年近くいてもらえたはずですが」(大正大学・事務局長)

 大学側が全幅の信頼を寄せ、学生にも人気の非常勤講師が、あろうことか東京・豊島区の大学キャンパスで全裸になるという珍事件を引き起こしたのは今月8日のこと。

「午後3時ごろで4限の授業中でした。1号棟と3号棟の間あたりで白髪の男性が裸で正座していて、職員に囲まれてタオルを渡されてたんです」

 と男子学生は証言する。人目につかない通路だったが、昼間のキャンパスで全裸は目立つ。ほどなく目撃され、

「学生が学生課に駆け込んできて騒動が発覚し、職員が保護してジャージを貸した」(事務局長)という。

 大学側は同日、ホームページに謝罪文を掲載し、退職願を受理したことを発表。さらに10日、騒動の詳細が明らかになった。当該講師は55歳・独身。半年ほど前から、同学の女子学生(21)と親も同意のうえで生活をともにしていたという。ホームページには、

《学生は日頃より情緒不安定な面があり、当該講師の言葉によると、感情が高まると突発的にどんな行動を取るか分からず、彼女の言う通りにしないと収まらないということを経験的に知っており、その言葉に従ってしまったということです》

 つまり、女子学生が服を脱ぐことを要求した……。しかも、講師は土下座までしたが、女子学生が服を持ち去ってしまったため、その場で正座を続けていたという。2人の間にどんなもめごとがあったのか? それは、全裸になることで解決することなのか?

「裸にならない方法はいくらでもあったでしょう。女性側は彼女なりのうっぷんが日常的にたまっていたのが爆発してしまって、講師は女性への気遣いが暴走してしまったんでしょうかね。相手が騒ぐことによって周りに(学生が情緒不安定であると)バレることを防ごうとしたのでしょうが、人目につくところで裸になるのは犯罪ですからね」(学校関係者)

 東日本大震災の復興支援活動にも熱心だったという当の講師は、学校に対し「自分の大事な人を守るために行ったこと」と、全裸の理由を説明。学生に向け《自分の信頼すること、信じることを貫き通して欲しいと思います。そのとき少しの冷静さを忘れないようにしてください》と、反省の色がうかがえるラストメッセージを残している。

 珍事件の2日後、2人は一緒に学校に足を運んだという。

「2人で歩いてきましたが、学生は意外と気づかないものです。騒ぎにはなりませんでした。女子学生も普段は素直な子です。学校に来るようにと電話したらちゃんと応じましたし、きちんと謝罪をしたので許したというところもあります。本来であれば処分を考えてもおかしくないところですが……」(事務局長)

 職を失った元講師、お咎めなしの卒業間近の女子学生。 複数の学生によると、女子学生は黒髪で少しふくよかな、目立たないタイプだという。

 前出の学校関係者は、

「2人とも縁あってここで出会ったのだから、あとは2人で、幸せな家庭を作っていきなさい、幸せになる努力をしなさい、と思いますね」

 と“ご縁”に期待を寄せる。廣澤隆之副学長は、

「大学としては2人にさまざまなケアを行っているところです。今まさに、手を尽くして2人のこれからのことを考えて対応しています」

 と気遣いを示したが、今後2人は、どうやって生計を立てていくのか。元講師に取材を申し込んだが、締め切り時までに返答はなかった。すべてを脱ぎ捨てても「大事な人」を守った元講師。思いは恋人に届いたのだろうか。