「イスラム教スンニ派という宗教は同じですが、成り立ちや目的は異なります」
とジャーナリストの渋井哲也さん。アルカイダは中東で生まれ、アメリカが育てた特殊な背景を持つ。
「米ソ冷戦時代の’79 年、ソ連はアフガニスタンへ侵攻しましたが、これに対抗するために、アメリカは直接攻撃するより地元の抵抗勢力を育てようと考えた。そこで選ばれたのがアルカイダ。以後、資金援助や武器の提供を行ってきました。アメリカは自分たちが育てた組織に、同時多発テロでやられてしまったわけです」
そんなアルカイダでさえ“過激すぎる”と恐れるイスラム国は昨年6月、国家の樹立を一方的に宣言。
「国づくりの着想自体は第一次大戦後にまで遡ります。勝者の英・仏・露によって、敗れたイスラム国家・オスマン帝国の領土を分割して国境線を決めるという密約が結ばれ、勝手に国境線が引かれてしまったと考えているからです。そのためイスラム国は下水道整備や通貨を発行するなどして、行政基盤を整えつつあります」