大塚家具の“父娘バトル”は、3月27日の株主総会で61%の支持を得た娘の久美子社長の勝利で決着した。
「昨年7月に創業者の父・勝久氏が経営方針の不満から長女の久美子社長を解任。今年1月には久美子氏が社長復帰を勝ち取りましたが、その後お互いに相手を取締役会からはずす提案をして対立が深まりました」(全国紙記者)
勝久氏は会見で「悪い子どもをつくった」とまで話し娘への敵意を隠さなかった。勝久氏には千代子夫人と長男、久美子社長には次男・次女・三女がついて、大塚家を二分する泥沼の対立となっている。
株主総会で千代子夫人は、「(久美子氏では経営)できるとは思いません。あと、社員さんをいじめないでください」と発言。前出の記者いわく、この夫人こそが“和解”へのキーマンだという。
「夫人は長男を跡継ぎにしたいと考えていたのです。今後、勝久氏側についた長男も追放されるでしょうが、夫人がそれを納得できるかどうかにかかっているでしょう。そうでもない限り、勝久氏が筆頭株主であることは変わらないので、何度でも娘の“解任”を求める株主提案ができます」
まだまだバトルには延長戦がありそう。騒ぎが長引くとブランド価値に傷がつきそうだが、企業のお家騒動は珍しいことではない。記憶に新しいのは、’14 年に起きた老舗和菓子店『赤福』の親子対立だ。
「’05 年より3代目社長に就任していた濱田典保氏を父・益嗣前社長が解任し、代わりに益嗣氏の妻で典保氏の母である勝子氏を据えました。典保氏は’07 年の偽装問題の収拾に奔走。’08 年には64億円だった売上高を’13 年には92億円にするなど経営手腕は優秀でした。しかし、典保氏が近代的な企業経営への転換を図ったことで、従来の“家業型”経営を重視する益嗣氏と対立。株の約85%を益嗣氏の会社が保有していたこともあり、解任劇に及んだんです」(前出・記者)
佐川急便では’00 年に、創業者・佐川清氏の意向を受けた副社長たちが、実の息子である栗和田榮一氏を社長の座から追いやっている。
「長時間労働が当たり前だった父・清氏の方針を改め、栗和田氏は労働環境を重視。従業員には好評でしたが、利益が減ったことで旧経営側と対立します。栗和田氏は1度解任されるも、その直後に反撃して社長に再任。旧経営陣を追放しました」(前出・記者)