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 神奈川県川崎市で生活保護を受けているある家庭の女子高校生が、修学旅行に行くためにドラッグストアで時給830円のアルバイトをして、旅行代を自分で振り込んだ。しかし、川崎市は「娘のバイトは未申告。保護費を返せ!」と迫ってきたという。

 父親は娘がバイトを始めた直後に、福祉事務所の担当ケースワーカーに“娘が修学旅行代に充てるためバイトを始めたんです”と申告。そのため、裁判では市の不手際を指摘され、川崎市は控訴を断念。判決が確定している。

 厚生労働省によると、生活保護の不正受給件数は’13 年度で4万3230件。直近5年間で年々増えている。

 生活保護問題対策全国会議の事務局長を務める小久保哲郎弁護士は、「高校生のバイト収入をあとで未申告と指摘されるケースは多い」と言う。

「申告すればほぼ全額控除されます。高校生のバイト代はせいぜい月3万~5万円ですし、基礎控除や未成年者控除、自立更生控除が適用され、部活動費や修学旅行費、大学受験料に使える。きちんと説明を受け、申告していれば全額控除されるのに、自治体の担当者が知らなかったり、担当件数が多くて目が行き届かず、しっかりと説明していないことが多いんです。それなのに子どものアルバイトが発覚すると不正受給として扱う実務が各地で横行している。ケースワーカーの方などに聞くと、感覚としては不正受給の約4分の1が高校生のバイト収入未申告といいます」(小久保弁護士)

 判決は、そうした実務が違法であると明言した点で非常に意味があったという。