今月16日から日銀によるマイナス金利政策が導入された。超低金利のもとでも預金を守る方法は? マネーのプロにやさしく解説してもらった。
「まるで吹雪の中でアイスクリームを売るぐらい、これ以上ない最悪のタイミング」
そう解説するのは、ニッセイ基礎研究所シニアエコノミストの上野剛志さん。
「日銀が銀行から預かっている残高の一部に、マイナス0.1%を課す、というのが今回の政策です」
日本銀行(以下、日銀)のマイナス金利導入決定を英・フィナンシャルタイムズはバッサリ切り捨てたが、予定どおり今月16日、マイナス0.1%の金利の適用が始まった。
「今までの金利は0.1%でしたので、銀行は日銀にお金をいれてさえいれば、その分の収益がありました。マイナス金利が導入され、銀行は日銀に逆に、利子を払わなければならなくなりました」
私たちが銀行に預けている預金にまでマイナス金利が及ぶ危険性は、今のところなさそうだが、さっそく暮らしへの影響は出始めている。
メガバンク3行は、普通預金の金利を年0.001%にそろって引き下げた。一時払いの終身保険の扱いを取りやめる生命保険会社も出始めた。
ATM手数料の引き上げについても、日銀の黒田総裁は国会で「銀行の経営判断として可能性としてはある」、ただし「マイナス金利との関連ではございません」と答弁した。
ホームセンターでは、「マイナス金利対策」として、自宅でのタンス預金用に金庫売り場を充実させるところまで現れる始末。
金利に直撃されて損をしないためには、一体どのような対策をしたらいいのか。マネーのプロがまずすすめるのは大口の借金の見直しだ。
横浜FP事務所のファイナンシャルプランナーの平野雅章さんは、こう語る。
「マイナス金利政策におけるメリットはローンの金利が下がることです。住宅、教育、車などさまざまなローンにおける負担が軽くなります」
特に返済金額の大きい住宅ローンの繰り上げ返済や借り換えを促す。
「全期間の固定金利で2%台、もしくは変動金利で1%台の人にはメリットがある可能性が十分にあります。住宅ローン残高3000万円、残返済期間25年で、全期間固定金利2%のローンを組んでいる場合。
固定金利1.4%で借り換えると、返済総額が約3815万円から、借り換えにかかる諸費用約80万円を返済額にプラスしても合計約3637万円。借り換えのメリットは約178万円分」
さらに、こう続ける。
「住宅ローンと連動したサービスを調べてみるのがいいでしょう。例えば横浜銀行は同行で住宅ローンを組み、給与の振込先にも設定している場合、教育ローンを0.5%引き下げます。マイカーローンについては、住信SBIネット銀行は、住宅ローンを借りていれば1%引き下げます」
上野さんは「基本的に借り換えはお得」としたうえで、こう提案。
「通常、最低1回は契約に出向かなければなりませんし、審査書類の作成・提出や抵当権の再設定が必要です。その手間と手数料を差し引いてもお得かどうかは、見極めなければなりません。住宅ローンについては、固定金利と変動金利のミックス型にして、変動のほうは繰り上げ返済をして、ここ数年で返してしまうのも手です」