樹海や禁断の土地、触れてはいけない社会の暗部などを自ら身体を張って取材しているルポライターの村田らむさん。昨年夏の青木ヶ原樹海潜入ルポ『樹海の自殺跡地に落ちていたカセットテープの中身とは』(関連記事参照)に続く第2弾です。

今年もまた樹海へ……そこで出会ったものは

 取材で富士の青木ヶ原樹海(山梨県)に通い始めて15年ほどたちます。自殺の名所ということもあり、ご遺体を見つけてしまったのが4年前。今年、再び取材に訪れたときの話をします。

 春でも冷え込みが厳しい樹海、ようやく雪どけが始まったころでした。しばらく歩くと、目立つ何かが見えてきました。それは青いジーンズ。よく見ると、中に下半身が。どうやら冬の間に亡くなって凍り、暖かくなってとけ出し肉食獣に食べられたご遺体のようです。上半身は欠けていましたが、近くに入れ歯があり、お年寄りのようでした。

 さらにその数週間後、別の企画で立ち入ると、今度は鮮やかな色のレインコートが落ちていました。そのそばには頭蓋骨─白骨化したご遺体の頭部だけがゴロンと落ちていました。これで私が出会ったご遺体は4体となりました。すべて男性だと思います。

 樹海で女性の自殺者に出会わないのは、環境のけわしさや足場の悪さも理由としてあるかもしれません。溶岩の上にできた森である樹海は、ガスを噴出した大きな穴があいており、その上に枯葉や腐葉土がのっています。その穴にすっぽりと入り、出られなくなった登山者と思われるご遺体の目撃情報もあるほど。

 このような足場の悪い道を、自殺者たちはどのような気持ちで進んでいくのでしょう。近くには、外国人観光客に人気の観光スポットもあり、その辺りには売店も点在している。ただ、観光客風でもなく登山装備もない状態で樹海に入っていく人がいたとしたら……。1人でも多くの人が思いとどまってくれることを祈ります。

左上/富岳風穴。周囲には自殺者も多く夏でも気温3度と寒い 右上/※青さがまだ目立つジーンズの中には… 右下/謎の宗教施設。住人は高齢のため樹海を離れた 左下/※逆さに転がった頭蓋骨 (村田らむさんの写真集『樹海の写真集』より。※は週刊女性PRIME編集部が画像処理)

樹海だけじゃない! 怖い場所に行くときには…

一、事前にお祓いを受ける
一、お守りを忘れない
一、黒い服で悪い気を防御
一、鏡を持参する
一、帰宅前にどこかで飲食をする
一、清めの塩で、帰宅時に身を清める

 僧侶の袈裟や占い師の服に黒が多いのは、悪い気に取り憑かれないため。鏡は魔除け・身代わりになってくれる。帰宅前の飲食は葬儀の後の「精進落とし」と同じ意味合い。清めの塩はお祓いを受けた塩なら、なおよし。

【プロフィール】
村田らむ:ルポライター、イラストレーター、漫画家。樹海や禁断の土地、触れてはいけない社会の暗部などを自ら身体を張って取材。新刊『禁断の現場に行ってきた!』(鹿砦社)発売中