「旅行先で便秘に悩まれる方は少なくありませんが、その原因は旅行ならではの“楽しさ”にあると考えられています」
と話すのは、便秘外来で延べ15万人以上の治療に携わってきた小林メディカルクリニック東京の院長・小林暁子先生。
旅行の「楽しさ」が便秘の原因に!
実は人間の腸は、ゆったりとリラックスした状態のときに、より活発に動くことがわかっている。
「でも、旅行先には見たい、行きたい、食べたいものが多く、そのワクワク感からテンションも上がりがち。それによって交感神経が優位な“興奮状態”が続くため、腸の動きが悪くなってしまうのです」(小林先生、以下同)
また旅行先では、その土地ならではの味を堪能しようと、普段より食事量も間食の機会も多くなる。ホテルや旅館の夕食、朝食バイキング、観光地での食べ歩きなど、絶えず何かを食べている……なんてことにもなりがちだ。
「それでは胃腸が休まらず、労働過多のような状態となってしまいます。その結果、腸の動きが悪くなり、便秘が起こりやすくなるのです」
さらに旅行中は、ふだんと違ってゆっくりトイレに座れなかったり、移動時間が長かったりなど、自分のタイミングでトイレに行けないといった状況になりがち。
また、一緒に行動する友人が気になってトイレに行きにくい……と我慢をし、便秘の症状を悪化させてしまうことも多いという。
「便秘になるとお腹が張るので、空腹感を感じなくなります。それでも『せっかくだから』と無理に食べようとして、余計に胃腸の調子が悪くなるといった負のループに。便秘を引き金に、旅先で体調を崩す人は、食いしんぼうな女性に多い印象ですね」
余裕のある日程と腸活ストレッチを
旅先での便秘を改善・回避するためには、どのような対策をとれば良いのだろうか。
まず心がけたいのは、食事量や時間を調整すること。できる限り空腹になってから食事をとるようにし、水分補給も忘れてはいけない。
「移動が多いときなどは、トイレが近くなるからと、水分補給を極端に控える人がいますが、腸をしっかりと動かすためにも、ドリンクだけで1日トータル1.5Lは水分を補給するように心がけてください」
そのためには、1か所観光したらリラックス&トイレタイムを取るなど、スケジュールに余裕を持たせることも大切。旅行中もしっかりと睡眠時間を取るようにして、自律神経のバランスを整えることも心がけたい。
そして、もし旅行中に便秘の症状を感じたら、簡単にできる『健美腸ストレッチ』を実践し、ビフィズス菌入りなど、整腸効果が期待できる飲むヨーグルトをとるのがいい。
「旅行先では、薬ではなく食品で便秘を改善するのがオススメ。体調次第では薬が効かなかったり、逆に効きすぎたりするといったことがあるため、自分で調整しにくいんです。
特に飲むヨーグルトは、場所や時間を問わずにとりやすく、コンビニでも手軽に購入できるので、1日1~2本を目安に摂取するといいでしょう」
便秘の症状を感じたときだけでなく、旅行先で便秘になったことがあったり、もともと便秘ぎみの人は、旅行前から摂取したい。
「旅行に行く前から腸内環境を整えておくと、環境が変わっても腸の調子を保って快便をキープしやすい。
コロナ禍も落ち着いてきて、旅行を考えている人も多いと思いますが、腸をしっかり動かして、“スムーズに出すものは出し”、レジャーを心置きなく楽しめたらいいですよね」
ポイント2つ!旅先便秘改善
1. ホテルでできる健美腸ストレッチ
(1)4秒かけて鼻から息を吸い、8秒かけて口から吐きながら片手で反対の足首をつかむように前屈。左右交互に20回。
(2)肩肘と反対側の膝をリズミカルに近づけて。その際、息を止めないように注意! 左右交互合わせて20~30回。
(3)足を組んでこぶしを脇腹とおへその間に当て、8~10秒かけて口から息を吐きながら前屈。足を組み替え左右10回ずつ。
2. コンビニで手軽に買える飲むヨーグルトで改善
いつでも手軽に摂取しやすい飲むヨーグルトは、旅行先で便秘の症状を感じたときはもちろん、旅行1週間前から摂取し「旅行を楽しむための腸活」にもオススメ。ビフィズス菌入りなど、整腸効果が期待できるものを選んで。
飲むヨーグルトはビフィズス菌入りなど、整腸作用に優れた機能のあるものを選び、1日1~2本の継続摂取を!
旅先の便秘ココにも注意
(1)水分補給も忘れずに
腸の動きをよくするためにも、ドリンクだけで1日トータル1.5Lは水分補給するように心がけよう。
(2)余裕のあるスケジュール
1か所観光したら、その後少しリラックスできる時間をとるなど、無理のないスケジュールを立てて腸を休めて。
(3)移動中に10分でも寝る!
睡眠をしっかりとることも腸活の重要ポイント。夜寝られない場合は、移動中など10分でも寝る時間を確保して。
(取材・文/大野ルミコ)