「容疑者は警察に捕まったとき、観念したようにうなだれていたそうです。罪の重さを思い知ったのか、途中からはわんわん泣いていたとか……」
東京都東久留米市の新青梅街道「柳窪新田交差点」の近隣住民はそう証言した。
警視庁東村山署は10日の深夜、同市の会社員・住山禎宏容疑者(53)を道路交通法違反(ひき逃げ)と、自動車運転処罰法違反(過失運転致死)の疑いで逮捕した。容疑者は同日午後3時40分ごろ、東村山市の交差点を自家用車で右折する際に、横断歩道を渡っていた同市の無職・牛草典子さん(84)を跳ねて、救護せずに逃げたというもの。
被害者を引きずったまま、およそ2キロも逃走
「容疑者はなんと被害者を引きずったまま、そこからおよそ2キロも逃走した。その様子を目撃した人が110番通報。約10分後、捜索していた警官が柳窪新田交差点で容疑者の車を発見したわけです。被害者はすぐに病院へ搬送されましたが、およそ1時間後に死亡が確認された」(全国紙社会部記者)
警察の取り調べに対して、住山容疑者は、
「人をひいたという認識はありませんでした」
と容疑を否認しているという。
事故現場の住民が通りがかったのは、事故から20分後だった。
「そのときにはパトカーと警察の大型車両、それに6人ほどの警察官がいて、歩道のところを調べていた。その脇で、幼い子どもを連れた高齢の女性が警察官と話していて、あの人が目撃して通報したんじゃないかな」(住民、以下同)
最初は子どもがひかれたという話もあった。
「横断歩道のところに、小さな靴が転がっていたから。でも、あとでおばあさんのものだとわかったのよ」(近所の主婦)
不思議なことに、道路には被害者の血痕がほとんどなかったという。一体なぜなのか?
車の後部から被害者の足の先が…
実は容疑者の車は被害者をずるずると引きずっていたわけではなく、
「被害者を車体下の空間にすっぽり入ったままで走っていたみたいよ。近所の人は車を後ろから見て“車の後部から被害者の足の先が飛び出していた”って……。恐ろしい話ですよね」(同・主婦)
では、容疑者は事故に気づかなかった可能性もあるのか?
「車が被害者を巻き込む際、乗り上げるような形になるから、わからないはずはないでしょう」(前出・社会部記者、以下同)
事故後、2キロも運転していて、
「車のスピードが出ない、道路をこする感じがあるはずだから、認識がないという供述には無理がある。怖くなって逃げた可能性が高いと考えられている」
容疑者の自宅は車が最後に停止した交差点を直進すれば、700メートルのところにある。だが、なぜか交差点を右折したのは、なぜなのか……。築19年、14階建ての大規模マンションで3LDK、価格は4000万円ほどのマンションに住んでいた容疑者。そこでどんな生活をしていたかまでは取材することができなかった。
容疑者だけでなく、その家族や関係者も心を痛めているに違いない。だが、それ以上に家族を失った遺族の痛みは深い。