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 中高年・シニアの婚活が活気づいている。日本仲人協会のアンケートによれば、2022年以降、50歳以上のお見合い数が増加。 熟年離婚が増えたり、物価高で将来の経済的不安が高まったことなどが一因にあるようだ。

コロナ禍に孤独死の不安などが深刻に語られるようになって、第二の人生を充実させたい“アラ還”がアクティブに活動している印象。

 最後はひとりでいたくない、子どもたちにも迷惑をかけたくないと、終活の一環としてポジティブに捉える“再婚願望組”もいます

 そう話すのは、シニア婚活アドバイザーとして活躍する立花えりこさん。

話題沸騰の熟年婚活、トレンドは婚活ツアー

 中でも近年高い人気を誇るのが「婚活バスツアー」だ。独身の異性と出会えるのはもちろん、おいしいランチを堪能しつつ、観光も楽しめると応募が殺到している。

 婚活・恋活ツアーを運営する駒井直人さんによれば、「ツアーの件数はコロナ前と比べ倍、申込者数も体感で3~4倍に増えている」そう。

 バス内では男女が隣同士になるよう割り振られ、休憩のたびに席替えを行う。食事の席は必ず男女交互に準備したり、参加者全員と自然と話せるような環境を整えるのだとか。

 その後の観光タイムでは気になる相手とじっくりと話せるよう、グループ行動の時間やフリータイムを長めにとった旅程が組まれている。

 旅行の終わりには、カップリングシートにお目当ての相手を書いて指名し、見事マッチングすればカップル成立というのが一般的な流れだ。

ツアーでは、毎回半数近くの方がパートナーを獲得して帰られます。長い時間、一緒にいるので『相手の人間性を見極められる』というお声を多くいただいています。

 男女の出会いがメインですが、中には婚活情報をシェアできる同性のお友達を見つけられる方も。さまざまな出会いが生まれやすいのがメリットですね」(駒井さん、以下同)

 ただし、楽しいがゆえに、はしゃぎすぎてしまったり、積極的すぎるアプローチで異性に迷惑がられてしまったりというケースも。

「羽目を外さない限りは(笑)、相性を確かめながらパートナーを探したいという人には、うってつけの手段です」

 立花さんが運営する結婚相談所では、登録会員の7割は55歳以上。本気の希望者が多く、会員数は常に定員の上限ギリギリなんだとか。

最近では、お子さんからすすめられて婚活を始める方もかなり増えています。昨年は『母を1人で生活させるのは心配』と娘さんに連れてこられた74歳の女性が、無事ゴールインされました!

 お相手の72歳の男性は優しく、丁寧に女性に寄り添う方で、私もうれしかったです」(立花さん、以下同)

“将来”ではなく“今”を、シニア婚活の実態

 参加者のうち約半数は、死別・離婚経験者というシニアのため、結婚という法的な関係性に固執せず、残りの人生を共に楽しむパートナー探しと捉える人も多い。

 死別の場合、籍を入れてしまうと遺族年金の受給ができなくなるというのも理由のひとつ。また、バツイチ経験者は、毎日顔を突き合わせるデメリットを熟知している分、あえて通い婚を続けるカップルも。立花さんは熟年婚活を次のように分析する。

「20~30代の結婚が相手の“将来性”を見るものだとすれば、この世代は“今”を見るもの。性格やライフスタイルは簡単には変わりませんし、お相手の年収などの資産についてもめどはつく。

 だからこそ今の姿にどれだけ惹(ひ)かれるかどうかが、シニア婚活の成否を大きく分けるのかもしれません」

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「バスツアー」や「結婚相談所」のほかにも熟年世代の出会いの場として「婚活パーティー」や「マッチングアプリ」を使う人も多いそう。

「単発で参加しやすいのは、婚活パーティーです。簡単なプロフィールを交換することから始まり、参加者の男性と女性が2人きりで話せるコーナーをつくった上で、最後にマッチングを発表します。

 ただし、気軽に参加できる分、結婚ではなく恋愛目的の人も交じっているのが正直なところ。成婚を目指すなら、目的とタイミングが合う人を見つけることが鍵になります」

 中には40代後半から50代後半にかけ10年近く活動、回数にして200回以上参加して、ようやく結婚にまでこぎ着けた男性もいる。回数を重ねてコストをかければ、相手を見る目はかなり磨けそう。

 マッチングアプリでは、表面化しないトラブルも多い。

恥ずかしさから実態が明らかになりにくいですが、騙(だま)されたという話はよく聞きます。一方で、結婚できたという話は多くない。婚活にはあまりおすすめしません

 結婚相談所は経歴などの書類を交換し、双方に会う意思があればお見合い(顔合わせ)を実施し、その上で交際に進むかを判断する。

自身に合った方法を選ぶ

 立花さんの結婚相談所では1人につき年間約10〜30本とお見合いを実施。最も多かったのは1年で88人と会った人も。困ったときに相談できるなど手厚いサポートがうれしい半面、費用はかさむ。

「それでも本気で結婚を目指す人は圧倒的に多く、登録直後にとんとん拍子で縁談が進むというケースも。アドバイザーも積極的に助言をくれるので、デートが何十年ぶりといった方や、自信がないという方向きですよ」

 大切なのは、今の婚活の目的や自身の性格に合った方法を選ぶこと。

相談所のまじめな雰囲気が合わない人もいますし、どの手段が合うかは人によりけり。うまくいかないと思ったら別のところを考えて違う方法に挑戦し、効率よく時間を使ったほうがよいですね

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 ただし、どんなときにも忘れてはいけないのが、清潔感と気配りのマナーだ。中には、会って間もないのに資産の話を聞きたがり、場を凍りつかせる人も。

「焦る気持ちはわかるものの初対面で聞くのは失礼なこと。話さなくてはならないときには必ず打ち明けてくれるものなので、まずは相手の心を掴むことが先と考えて」

 そして2度目の青春をゲットするには“覚悟を決める”、つまり勇気と度胸が明暗を分ける。

「好意を寄せてくれる相手の中から好きになれそうな人を見つけるケースが、女性の婚活では圧倒的に多いんです。人生最後の伴侶を本当に得たいなら、自分が好きになれるかわからない相手に対しても、選択肢を増やすために自分をアピールして、まず相手の気持ちを掴んでしまうこと。

 選んでくれた相手の中から選ぶと、短期間での婚活成功につなげられるでしょう」

「熟年婚活」メソッド別体験談

 自分に合ったものを選びたい!!

1.婚活バスツアー

プラス面:人間性をチェックできる
マイナス面:長時間で疲れることも

「1人参加がほとんどなので声もかけやすく、すぐに参加者同士で打ち解けることができました。当日はカップル成立とはならなかったけれど、翌日、連絡先を交換していた方から連絡がきて、その後、交際を続けています」(60代女性・Aさん)

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2.婚活パーティー

プラス面:気軽に参加できる
マイナス面:恋愛目的の人も参加

「パーティーの非日常的な空気を味わえるのは楽しかったのですが、カップルとして成立するものの、その後発展せずにお別れしてしまうことが何回も。5年かかってついにパートナーと出会えました」(50代女性・Bさん)

3.マッチングアプリ

プラス面:お金をかけず出会うチャンス
マイナス面:金銭のトラブルもちらほら

「医師を名乗る男性とマッチングして交際していたのですが、一緒に沖縄に行く旅行資金として5万円ほど渡したものの、そのあと連絡が取れなくなってしまったことがあって……。それ以来、怖くなってアプリは退会しました」(60代女性・Cさん)

4.結婚相談所(お見合い)

プラス面:サポートが万全で安心
マイナス面:費用がかさむ、雰囲気は堅め

「60歳を前に意を決して登録。見事、半年でゴールインできたので、もっと早く登録しておけばよかったと後悔しているくらいです。相談所を通す分、お相手への信頼性も高く、安心して婚活に取り組むことができました」(50代女性・Dさん)

教えてくれたのは……

立花えりこさん●ブライダルゼルム代表。20年の仲人歴を活かし、シニア婚活アドバイザーとしても活躍している。YouTubeチャンネル「シニア婚活チャンネル」やブログも人気。

立花えりこさん●ブライダルゼルム代表。20年の仲人歴を活かし、シニア婚活アドバイザーとしても活躍している。YouTubeチャンネル「シニア婚活チャンネル」やブログも人気。

駒井直人さん●アイリスツーリスト代表として、シニアや中高年に大好評の婚活バスツアー「ハピネスツアー」を運営。最近では、婚活にとらわれない男女の交流を楽しむ「ハピ旅クラブ」も手がける。

駒井直人さん●アイリスツーリスト代表として、シニアや中高年に大好評の婚活バスツアー「ハピネスツアー」を運営。最近では、婚活にとらわれない男女の交流を楽しむ「ハピ旅クラブ」も手がける。


取材・文/オフィス三銃士