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高齢の人は気をつけたい、心身の活力低下状態であるフレイル。それでも、まだ寒風が吹く季節で、ましてや雪深い土地では屋外で運動する気も起きない……。
そんな状況に甘んじて代謝が落ちたり、足の筋力が衰える人に今おすすめなのが「10分お家(うち)ウォーキング」だ。
家の中で10分歩いて体力低下をストップ
「ふだん運動習慣がない人でも気軽に有酸素運動ができるようにと、考えました。膝や腰に不安のある人は、壁や椅子につかまりながら行ってみて」
そう呼びかけるのは作業療法士の荻野秀一郎さん。
「その場足踏みと、変化のあるステップを組み合わせて10分間歩き続けます。バリエーションがいくつかありますが、今回は基本的な運動を組み合わせた内容をご紹介」(荻野さん、以下同)
健康体操の講師でもある荻野さん。高齢者やケアマネジャーからの要望で、足腰に不安があっても、家にひきこもりがちでも、運動機能が落ちない方法を考案した。
「屋外を歩くことで得るメリットは大きいですが、環境や体調面などで難しい人もいます。家の中で歩くことでも血流はよくなりますし、運動機能や心肺機能の向上、ストレス発散にもなるんです」
プラス1000歩で介護や認知症を予防
「10分間歩くと、約1000歩になるといわれています。高齢の人の歩数計を拝見すると買い物や通院で一日4000歩ほど。
ある調査で、一日の歩数が5000歩程度なら介護予防や認知症予防、心疾患や脳卒中の発症リスクが軽減するそうです。そのため、この運動はふだんの活動量にプラス10分のウォーキングを目指しています」
運動習慣がない人ほど、毎日やってほしいという。
「足踏みが階下に響くのが心配ならヨガマットを敷きましょう。最初は5分間で、それでもつらければ、いったん休憩してから5分やればOKです。10分やって翌日に疲れが残る人は、次の日は休みながら。継続的に行うようにしましょう」
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10分お家ウォーキングを続ける上で大切なのは「テンポ」だという。
「30秒間という時間内では、ムリせずご自分のペース、テンポで動いてください。動きがスムーズにいくようになったら少しずつ速さを上げていけば大丈夫です」
続けることで、どんな効果があるのだろうか?
「コロナ禍でデスクワークに変わった50代の女性は、足のむくみと肥満が解消。足腰が不安で買い物の往復に時間がかかっていた80代女性は、体力がついて半分の時間で往復できるようになりました。
2年続けたことで、高血圧の薬をやめられたという50代の女性もいます。こうした効果を実感するためにも、2~3か月は継続してほしいですね」
※現在医療機関で治療やリハビリ中の人はやらないこと。主治医の指示に従ってください
「10分お家ウォーキング」
大事なのは続けること!
「その場足踏みと5つの運動で全身の筋肉が網羅できるメニューです。きつい人は1セット5分から。余力があれば休憩を挟んでもう1セット続けましょう!」
(1)その場足踏み[30秒]
足踏みのテンポは自分のペースでOK。腕もしっかり振って。
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(2)サイドステップと腕の開閉[30秒]
左右にステップを踏みながら腕の開いて閉じるを繰り返す。終わったら再び(1)を30秒。
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(3)ワイド足踏み[30秒]
腕を振りながら足を徐々に左右に開いていき、また徐々に閉じていくを繰り返す。終わったら再び(1)を30秒。
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(4)クロスしながら側屈足踏み[30秒]
足を斜め後ろに伸ばすと同時に上半身も斜めに伸ばす(側屈する)。腕だけでなく身体全体を傾けて、側屈するのを意識しながら左右交互に繰り返す。終わったら再び(1)を30秒。
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(5)足踏みキック[30秒]
その場で3回足踏みしたら、4回目で膝を伸ばしてキックを左右交互に繰り返す。キックは膝を伸ばし、できるだけ上に蹴り上げる。終わったら再び(1)を30秒。
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(6)レッグカール足踏み[30秒]
両手を背中側でタッチしたまま、かかとがお尻に近づくように左右交互に膝を曲げる。
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※ここまでが1セット(5分間)「余力がある人はもう1セットチャレンジ!」
【POINT】
□有酸素運動の効果を上げるため次の運動に移る際に足を止めないこと
□足腰に不安がある人は、片手を椅子の背などにつかまりながらでもOK!
□決して無理しないこと
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教えてくれたのは……荻野秀一郎さん●作業療法士として病院勤務を経た後、東京都大田区で高齢者向けパーソナルトレーニング教室開業。その後始めたYouTube「フラミンゴの介護予防チャンネル」は登録者数21万人超え。
取材・文/冨田ひろみ