「食」習慣は5色バランスではじめよう
栄養管理士として「食からの健康づくり」をテーマにさまざまな活動を展開されている杉本恵子さんが提唱している「食材5色バランス健康法」。
「食」習慣を「黒・緑・黄・赤・白」の見た目で判断し、毎食ごとに5色のバランスを考えて摂るだけの食事法です。
黒はシイタケ、メカブ、そば、アサイーなど。緑は小松菜、ピーマン、ブロッコリー、アスパラガスなど。黄は納豆、コーン、チーズ、さつまいもなど。赤は豚肉、トマト、ニンジン、サバなど。白は豆腐、牛乳、たまねぎ、ニンニク、大根など。
これらが代表的な色分けした食材です。
とても簡単なこの5色健康法。今回はより具体的にこの健康法を習慣的に摂りいれる方法を、考えてみましょう。
食生活は急には変えられないとまずは知ろう
プロが考えたダイエットや食生活を改善するプログラムは、世の中にたくさんあります。しかし、なかなかうまくいかないことが多いようです。
それは、なぜだと思いますか?
食生活を変えていくのは初心者のまったく走れないランナーに付き添って一緒に走るようなもの。ランナーをサポートするには、その人に合わせて、わかるように合図をしながら一緒に走らなければいけません。
ですが、多くの食事指導は相手のことを見ないで、いきなりグイと引っ張るようなもの。それではランナーは戸惑います。同じくこれまで食べてきたものをいきなり「ストップ」されてしまえば、誰だって嫌になってしまいます。
それまでの生き方、食生活を積み重ねてきたものは急になくすことはできません。1カ月で新しい食生活に変えるというのは現実的ではないのです。3カ月ぐらいで少し変わる兆しが見えはじめ、半年経ってようやく自分でも変わったことが実感できるぐらいでちょうどいいと思います。
ダイエットでも同じですが、急に変わったものはそのときはよくても、後からリバウンドがきます。それでは意味がありません。
仕事ができるビジネスパーソンほど、目指すものから逆算して何をやればどうなるかというマネジメントができるはずです。食と健康をマネジメントすることもまったく同じなのです。
誰でも人生で3回変わるタイミングがある
「5色健康法」で食と健康を考えた食生活に変えることは、決して難しいことではありません。
人間には誰にでも3回、意識が行動が変わるタイミングがあると言います。
まず最初は結婚をして、自分以外の人間と暮らし始めたとき。そして次が、子どもが生まれて新しい家族が増えたとき。そして3回目は、定年間近になり第二の人生を考え始めるときです。
いずれのタイミングでも共通するのは「このままではいけない」「もっと良くしたい」という気持ちが出てくること。
そんなときは自分だけでは、なかなか変えるのが難しいこともあります。
聖路加国際病院の名誉院長であられる日野原重明先生はこんなことを仰っています。
「自分が健康になりたいなら、健康を意識している人と友達になりなさい」
皆さんのまわりにも食と健康を意識している人がいたら、その人の行動を真似して参考にするのもいいと思います。大事なことは、とにかく「意識」を向けることです。何も意識をしないのがもっともよくありません。
一見、健康そうに見えてバリバリ仕事をしていた人が、ある日、倒れてしまうことも珍しくありません。そういった人は、自分には病気は無関係だと自分の健康について意識すらしていないことが多いのです。
そうでなくともビジネスパーソンの身体はさまざまなストレスを受けているのですから、やはりまずみなさん自身が「食と健康」に意識を向けて、日々何を食べているのか、「5色」をベースに変えていってほしいと思います。
まず最初に一週間をやってみる
「5色健康法」を取り入れた人に共通するのは、自分の身体を動かすことが苦ではなくなること。
自分で何を食べたかを常に意識しているので、例えば「好きな肉をちょっと食べ過ぎたかな」と思えば、その分、次の日には意識して歩こうといった具合です。
決して我慢したり無理な食事制限をするのではなく、「5色」を意識して食べながら身体を動かすようになるのが特徴といえるでしょう。
なぜそうなるかといえば、「5色健康法」を取り入れることで、食材の力が体に効いていることがわかり、自分で自分の身体をコントロールしている実感ができるからです。
何も意識せずに食べていたときと比べたら、「白」の食材のご飯をちょっと減らして、代わりに「黄」の納豆をしっかり食べようと行動を変えることができるので、自ずと体重も減らしやすくなります。
そこにさらに運動もするわけですから、自分で自分の身体をマネジメントできている実感も持てるわけです。
簡単に効率よくできる5色健康法をはじめよう
「5色健康法」は、厳密に毎食のカロリーを計算して意識する必要はありません。それでも結果的にカロリーを減らすことができます。
個人差はありますが、早い人では1週間5色を意識して食べるように変えてみると、体重も減って疲れにくくなったと感じる人もいます。一週間でこれだけの変化があるのだから、これを1カ月、半年と続けることができれば、もっといい状態に変われるのではないか。そう思うのも自然なことです。
そうやって特に難しいことも無理なこともやっていないのに、自然と元気で健康になれる。それはやはり「5色健康法」が私たち日本人が昔から受け継いできた、日本人にとってちょうどいい食生活に合っているからではないでしょうか。
日本人の食と健康の知恵。それは時代を超えてつながれていくものです。みなさんもこれを機にぜひ、「5色健康法」を試していただければ幸いです。