舞台のテーマ・内容に絡めて、なんとか裕太の話を引っ張り出そうと、報道陣はあの手この手で質問を浴びせた。
ポスターにも綴られている作品のテーマ《うちの人生は九ツ転んで十起きます!》に絡めて「高畑さん自身はどれくらい転んでいますか?」
という質問に対して、
「数えたことはないですけど、同じくらい転んでいるんじゃないかと思います。立ち上がるまで時間がかかりますけど、ものすごくしつこいたちなので、忘れないことは絶対に忘れないです」
と答えた後に、記者の意図するところを感じとったのか、
「“ちょっと助けてください”と周りに助けを求める場面もありました。でもその後の質問も余裕でかわしていましたね」(スポーツ紙記者)
裕太に関する質問に関しては、事前にNGが出ていて、それでも質問する記者には関係者が制止していたのだったが、高畑が“暴挙”に及んだのは子育てに関する質問が出たときだった。
「女性レポーターが“子育てもテーマとなっていますが、ご自身も子どもさんが反抗期で……”と質問したところで高畑さんはいきなりそのレポーターの口を手でふさいだんです。
“お察しください。暴力的ですいません”と謝っていましたけれど、驚きましたね。でも、それまでの張りつめた空気がふっ飛んで、会場は笑いに包まれました」(前出・スポーツ紙記者)
ベテラン女優の機転に圧倒されたのか、報道陣からはそれ以上の質問が出ることはなかったというが、彼女の口から裕太のことを聞けるのはいつになるのだろうか。
<文/佐々木博之>