今年は豊田真由子議員の「このハゲ~」発言で久々に“ハゲ”に注目が集まった年だ。これは'05年に起きた『耐震偽装事件』以来12年ぶりのこと。
当時問題になった建物を設計した元一級建築士のA氏が逮捕された後、カツラを使用していることがわかり、事件そのものよりも話題になったのだった。
一般的にはなにかとネガティブなイメージがある“ハゲ”だが、その頭を武器に活躍している人もいる。
先日、初CM出演が決まった元関西テレビのアナウンサーで現在はフリーの山本浩之もそのひとりだ。
「'98年、山本は関西ローカルの番組に出演中に、かぶっていたカツラを取って、ハゲであることをカミングアウトしたんです。当時、全国ネットのワイドショーやスポーツ新聞にも取り上げられるほどの大反響となりました」(在阪テレビ局関係者)
彼は元々、ニュースもバラエティーもこなせる実力派ハイブリッドアナとして評価が高かったが、それ以降はまるで“憑き物”が取れたかのように大躍進。特にバラエティーでは“ハゲネタ”を駆使し、お笑い芸人以上の笑いを取るようになった。
そんな山本だけにネタともいえるハゲエピソードは数知れず。
カツラをかぶるようになったきっかけ
そもそもカツラをかぶるようになったきっかけは、関西テレビのアナウンサーだった20代のころ。頭髪が薄くなり、周りから「若さがないなあ」と言われるのを見ていた先輩アナ・桑原征平に勧められたからだそう。
ハゲを隠すことで自信がついたところまでは良かったが、逆にカツラに気を取られるようになり、取材中の集中力が欠けるようになったと山本は言う。
「国会中継に行って、議員のぶら下がり取材をしているときも、他社の記者たちとも揉みあいになっていますから、カツラがずれないか気になってしょうがないんです。でもそういうときに限って、後ろのテレビカメラが当たって、前にずれてしまい目の前が暗くなっちゃったり(笑)」(山本)
また'94年に関西空港が開港するとき、中継に行くことになった山本は悩みに悩んだという。空港が作られた大阪湾は強風が吹き荒れるところ。中継中にカツラが飛んでしまったら大変なことになる。ヘアメークさんにそのことを告げると、彼女は、
「私に任せてください!」
と言って、どんな風にも負けることのないヘアスタイルにしてくれた。しかし局に戻ってくると上司から、
「風でみんな髪が乱れてるのに、自分だけカチっとしとるのはなんか不自然やないかぁ」
と嫌味を言われたという。
彼は現在PHK(POSITIVE HAGE NO KAI)の会長としても活動、また自身の個人事務所PHカンパニーのPHもPOSITIVE HAGEの頭文字など“ハゲ”をふんだんに活かし、関西では押しも押されもせぬ超人気アナウンサーとなっている。
その証拠に、今回イメージキャラクターを務める新商品『麺名人 つるつるうどん』はCMの放送開始後に注文が殺到、
「1か月の出荷予定数が4日で“ハケ”てしまいました(笑)」(山本)
とのこと。
<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>