国民に対する詐欺行為だ
野党が臨時国会で疑惑追及することはかなわなかった。内閣支持率も持ち直したというよりは、どん底まで落ちたため組閣で上向いたにすぎない。NHKの調査では、7月に支持35%(不支持48%)まで落ち込んだのが、8月の組閣直後には支持39%(不支持43%)と少し回復している。
しかし、その内閣はほとんど仕事をしていない。
「何も仕事をしないまま解散する。安倍首相みずから“仕事人内閣”と名づけておきながら、これは国民に対する詐欺行為に等しい」と大谷氏。
怒りを通り越して、あきれている有権者は少なくない。
景気回復はどうなったのか。前回'14年の衆院選は「アベノミクス解散」と呼ばれた。
前出の有馬氏は「安倍首相は国民が経済政策になびくことをよくわかっている。道半ばのアベノミクスを成功させたい。前回衆院選で言っていたとおり、“この道しかない”んです」と話す。
第2次安倍政権の経済政策としてアベノミクスを唱えてから4年9か月。昨夏の参院選でも「道半ば」と言っていたけれど、いつゴールにたどり着くのかわからない。国民の期待はしぼんでいる。
ただ、民進党は離党が続出してガタガタで、小池新党は準備不足とされる。安倍・自民党の勝算は正しいのか。
有馬氏は「民進党は厳しい。しかし、小池新党は選挙まで時間がないからこそ話をまとめやすい側面もある」と話す。
「党の顔になる小池都知事はこの衆院選に出馬すると思います。空気はガラリと変わりますよ。小池新党が自民党の100議席を奪えば、安倍首相は退陣に追い込まれ、自・公・小池新党の連立で小池総理の誕生。小池氏が最初で最後のワンチャンスを逃すはずがない」と有馬氏。
安倍首相の見込み違いはこれだけある。好機とみるのは楽観的すぎないか。
安倍首相が見通せていない8項目
(1)北朝鮮危機を必要以上に煽っているのが見え見え
(2)森友・加計学園疑惑に対する不信感は根強く残っている
(3)内閣支持率は低くなりすぎただけで持ち直してはいない
(4)「仕事人内閣」が全く仕事をしなかったことに有権者はあきれている
(5)どうにか憲法改正に結びつけようとしているのが見える
(6)消費増税をもう先送りしたくない気持ちが透けている
(7)アベノミクスはいつまで「道半ば」なのか聞き飽きた
(8)小池新党が大躍進する可能性を過小評価している