1億円でヒット、3億円超のパンツ

 取り扱う衣料点数は、年間3万~4万点。そのなかから、1億円を売り上げると、ヒット商品といわれる。

 最近の最大ヒットは、秋冬シーズンで3年目を迎えた『ポカポカすっきり! あったか裏ファーパンツ』(1990円/S~LLサイズ)。昨シーズンは20万本を記録し、3億円以上を売り上げた。

「テレビCMとの連動商品だったんですが、買いやすい値段にチャレンジしました。

 パンツはトップスと比べると、形やレングスなど好みが分かれ、体形の違いも多様なので、売るのが難しいです。パンツの売り上げは、全体の20~30%になります。でも、パンツを買って気に入ってもらえると、次の購買につながりやすい傾向があります。そのため、パンツは新規商品としても気合を入れて作ることが多いです」(安野専務)

 サイズの豊富さも人気の理由で、基本はS~5L、商品によっては10Lまで幅広く取りそろえている。

 30年にわたるカタログ通販のデータをもとに、トレンドをとらえながら商品開発をしているが、「創業以来、流行は追いすぎない、そのちょっと手前で作っています」(同専務)。

 晴れ着もあるが、日常着のほうが、より好まれているようだ。

 ヒット商品は、全体の1割~2割。そのため商品企画においては、ヒット商品作りを目指すことを、あえて掲げ、スタッフを鼓舞している。

カタログは、気づき、興味、共感の3段階を経て、買っていただける。ヒット商品は、共感してもらった人が多いということだと考えています」(高橋企画本部長)

 予想以外にヒットしたケースも。昨年、販売したメンズ用のダウンジャケット(5990円)は、欠品になるほどの人気ぶり。“コートや厚手モノの売れ筋がいいのは、3年おき”といわれるファッションサイクルがあるそうで、理由ははっきりしないが、それに当てはまったという。

増収増益でひとり勝ち、発行部数は前年比5%増

 近年、総合通販業界では、『ニッセン』が、業績不振からセブン&アイ・ホールディングスの子会社になり事業が縮小、『セシール』が『ディノス』と合併するなど変遷。

 ライバルの競争力が落ちているなかで、ベルーナの2018年3月期の連結業績は、売上高が前年比9・5%増の1600億円、営業利益が同19・5%増の130億円を見込み、増収増益と好調さを示し“ひとり勝ち”といわれている。

 主要カタログの発行総数は前年比5%増の約3600万部、カタログを発送している対象者は同12%増の約400万人にのぼる。

「今は、来年の夏商品を企画し、年内にはカタログの撮影を終えます。(スケジュールが早く)トレンドをとらえられないから紙(雑誌)はダメともいわれていますが、当社においては、カタログの比重は圧倒的に多く、事業の柱です。カタログ用、ネット用、店舗用と商品を分けることもしていて、お客様には買いたいと思う販売チャンネルを使っていただくことが、大切だと思っております」(安野専務)

 さらに、最近は専門カタログが業績を伸ばし、看護師向けの『アンファミエ』と『ナースリー』の両誌で、100億円近くを売り上げている。