社会的視点を持つことが大切
沼に落ちて妖怪にならないためには、社会的視点を持つことが大切です。
「“みんなを幸せにすることが私の人生の目標であり、幸せ”という社会的視点を持っているのが天使、自分視点しか持っていないのが妖怪です。沼度ゼロの社会的視点を持っている、アーティストやスポーツ選手、トップの経営者の人は本当にシンプル。やりたいならやればいい、変えたかったら変える。今日から変えるって言ったら今日から変われてしまう。だから、そこに悩んだりとか迷ったりとか、ウダウダしている時間がないのです。
でも、自分視点の人は、本当は自分で生き方を決められるのに、自分はそれでしか生きられないと思い込み、その思い込みの強さが仇となって、最悪の場合、無差別殺人事件を引き起こしてしまうということも。思い込みの強さがうまく活用されたり、周りの人がそれを引き上げてあげたり、オブラートに包んであげたりすると、すごくよい才能になったりもするので、もったいないなと思います。昔と違って、武士は武士、農民は農民といった身分制度もなく、出入り口が開放されているのに、沼族は選ばない人たちなんですよね」
潜在的に沼族の人が増えている今、感化されないためにも、自分でマインドを切り替えていくしかありません。
「やはり、よりよく生きよう、今日を正しく生きよう、毎日ひとつよいことをしよう、自分の子どもを自立した人間に育てたい、といった思いを持つことはすごく大事です。でも自分本位な人が支持されて、ちゃんとやっている人が成功しないということも多い。その人が要領が悪かったり、時代にそぐわなかったりしても、心の視点を高めるトレーニングをして、心のあり方を変えてあげると、結果を出せるようになったりします。
現代は沼族が増え続けている中で生きていかないといけない時代。そこに引きずり込まれないよう、ポジティブなマインドスイッチを日々入れていくことが大切です。すでに沼族の人はあなたの周囲にもいるので、避けて通ることはできません。
でも、自らの視点を高めて、沼族の人を上手に扱い、共存していく道を見つけていく社会になればいいと思っています」
大衆に支持されるトランプ大統領を分析
自分視点の妖怪タイプの人が大衆に支持されることもあります。代表的なのがトランプ大統領。
「妖怪は攻撃するばかりではなくて、同じ沼族の人たちに共感される話をしたりするので、支持されてしまうことがあります。アメリカのドナルド・トランプ大統領はいい例でしょう。ミサイルの発射や核実験を繰り返す北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に対して、“頻繁にミサイルを打ってくるなんて、あいつはそれしかやることがないのか”とコメントしていますが、とても大統領のコメントとは思えません。
でもお茶の間の人たちにとっては、難しいコメントよりも、“そうだそうだ”と理屈抜きで感情的に共感できるので、彼を支持する。
オバマ前大統領は“世界を平和にする”という高い目標を掲げて行動していましたが、アメリカには“世界平和の前に俺のこの貧しさをなんとかしろ”という人が潜在的にいて、そういう人たちにはオバマは高尚すぎます。
そこに登場したトランプは、お金持ちだけど視点が低く、品がなくて差別意識が強くて、自分勝手な欲望を拡散している。沼族の人たちはそういったところに賛同してしまうのです」
久瑠さんからのアドバイス
□ネガティブなマインド環境が定着すると呪いがかかった妖怪と化す
□妖怪の扱いをマスターし心の視点を高めて沼に引きずりこまれないようにする
□思い込みでも『人の役に立ちたい』と思えば天使になれる
□無自覚な沼にはまらないためにはポジティブなマインドスイッチが必要
<プロフィール>
久瑠あさ美(くる・あさみ)◎メンタルトレーナー。「ff Mental Room」代表。心療内科の心理カウンセラーとして勤務後、トップアスリートのメンタルトレーニングに積極的に取り組み、注目を集める。企業経営者、ビジネスパーソンなど個人向けのメンタルトレーニングを行い、延べ5万人を超えるクライアントから絶大な信頼を寄せられている。心を創る「マインド塾」を主宰。著書に『一流の勝負力』(宝島社)、『人生が劇的に変わるマインドの法則』(日本文芸社)など、累計92万部のヒット。