――虐待のみならず、飼い手がつかず全国で殺処分された犬や猫についても議論の的となっています(※3)。ちなみに、昨年度のその数は5万5998頭だったといいますが、これをゼロにしていこうという取り組みについてはどうお考えですか?
柴田:これは致し方ないですよね。もし処分しなかったら、どうするんだっていう話ですよ。何もしなければ繁殖をし続けて、5年で100万頭くらい街に溢れるんじゃないですか? 悲しいですよ、処分している人たちだって。処分は良くないって言う人は多いですけど、じゃあどうするのっていう。むしろブローカーとかに文句を言うべきでしょ。
そもそも、命の売買ですからね。動物の値段を半端なくあげるとか、動物を飼うことを免許制にしたり、教習を講じる必要があると思います。
――柴田さんは、動物とはどのように関わっていくべきだと思われますか? 人間と動物との共存は可能でしょうか?
柴田:極端な話、飼わないことだね。だけどそう言うと、養豚場や養鶏場にいる豚や鶏も飼っているんじゃないの? っていう話になっちゃうじゃないですか。
飼わないとなると、ラム肉がない、牛肉が食べられないという話になってきちゃう。
たしかにそうすることは正しいかもしれないけど、ニッチだし、実際にはそんなのできないじゃないですか。だから、少なくとも僕が生きているあいだは、共存とかは望めないと思いますよ。
――矛盾が出てきてしまうと。
柴田:元々人間はライバルである動物と戦って、倒して食べていたわけですから。共存は僕のなかでは無理なんですよ。人と暮らさない、飼わない、食べるとしたら野性を捕まえる、動物と人間との関係はそれしか無理なんです。ちょっとずつ改善しても、何も変わらないんですよ。
――難しい問題ですね。
柴田:動物愛護の問題って本当に難しくて、どこかでボロが出ちゃうんですよね。お前、肉食べてるじゃんとか、動物園紹介したら動物を檻に囲って見世物にしているとか…‥もうキリがないから、なるべく関わらないようにしています(笑い)。なので、今回もこの話を受けるか迷いました(笑い)。
――受けてくださってありがとうございます(笑い)。そうした現実を前にしながらも、柴田さんなりにされていることはありますか?
柴田:自分なりにできることをしていけばいいのかな、と思うんですね。たとえば、テレビで絶滅危惧種の動物を紹介するときは、わざと最初に「世界で◯◯匹しか生存が確認されていない」っていうことを付け加えて説明したりしています。それは狩りをしている人たちへのメッセージでもあって。
――一動物好きとして、今後どういったことをやっていきたいですか?
柴田:好きで調べているっていうだけだから、勝手に知識が入るし、関心も高い。自分がテレビとかで見て、興味を持てばすぐに動くと思いますよ。
目的があればという感じですかね。たとえば、僕がケーキが好きだとして、新商品が出たとなれば、そこに行くでしょ。そういう感覚です。あとは新種の動物が出てくると気になりますね。このご時世のなか見つからないってすごいことですよ。
――ご自身で新種を見つけに行こうとは思われませんか?
柴田:思わないですね(笑い)。しんどいですから。アマゾンやサバンナに1回でも行けばわかりますよ。いったんいいよ、ってなりますよ。パンまずいとか、感染症怖いなとか、そんなことばっか思ってしまいます。
※1 『<埼玉・深谷市>猫虐待殺傷の一部始終を動画撮影した、鬼畜男の正体』
※2 『盲導犬を怒鳴って蹴り上げた「八つ当たり」動画拡散で考える、虐待と訓練のはざま』
※3 『<犬猫の殺処分問題>年間5万匹以上が犠牲!涙する保護センター職員が実態を告白』
<構成・文/岸沙織 取材記者/相馬直子 編集/近藤光>