5月に是正意見7件の警告、8月に同1件の判断延期を経て、11月の答申でも8項目の留意事項が付記されている。“熟度の高い計画”ではなかったのか。
実験施設の真下は……
今治市に市民から寄せられている開学をめぐる意見の賛否と実数を質問すると、
《このたびの認可を受け、祝福の声が多く寄せられています。今治市民は圧倒的に開学賛成だと認識しています》(同市企画課)
と文書で回答。意見を集約していないのか、数字は示さなかった。
卒業生は今治市、愛媛県、四国に住みついて地元で活躍してくれるのか。同課は、
《公務員獣医師をはじめ、先端ライフサイエンス研究の推進による関連企業や研究機関の誘致、食の安全、品質保証分野、ブランド畜水産物の開発なども見込まれ、地元定着にも大きく貢献できるものと考えています》
とほぼ大学任せの姿勢といえる回答にとどまった。
同市の松田澄子市議(共産党)は「地震が怖い」と話す。
「感染症の病原体を扱う『BSL(バイオ・セーフティー・レベル)3』という実験施設が、10数年前に大地震が発生した場所に建設される。市内でも震度5強を観測したほど。工事は急ピッチで進んでいるけれど強度は大丈夫か」
と松田市議は心配する。
しかし、そんな地元の声に耳を傾けることなく、15日の衆院文部科学委員会の審議は堂々巡りに終わった。「総理の意向」が働いたのか解明されず、性善説の言い訳ばかり。それどころか一部の与党議員の質問内容はマスコミ・野党批判だった。
ジャーナリストの大谷昭宏氏は次のように指摘する。
「委員会は質問する場所であって、演説する場所ではありません。与党は質問時間を増やせと言っておきながら、とんでもない話です。安倍首相は加計孝太郎理事長を国会に呼べばいい。ゴルフに誘えば来る人なんですから。それとも来られては困るのか」
安倍首相は17日、所信表明で加計学園疑惑に一切触れなかった。衆院選前は「私の友人が関わることだから疑念の目を向けられるのはもっとも」として丁寧に説明すると話していたのに……。