在宅介護を受けるために意識すべきこと
在宅訪問サービスの提供者に対する暴力をなくし、利用者のために必要なサービスを必要なときに届けられるようにし続けたい。それこそが自分たちの願いで、使命なのだと藤田氏は強調する。
では、サービスを受けるために必要なこととはなにか。
「少しの想像力だと思います。不要不急の救急車の利用のために、本当に救急車を必要とする人が利用できない場合があることを報道で知っている方は多いですよね。在宅訪問サービスもそれと似ています。
ルールの範囲を超えたサービスの使い方をして、例えば、看護師を長時間拘束すると、それで奪われた時間のために、本当に在宅訪問が必要な人へ医療や生活支援が行き渡らなくなることが起こっています。
繰り返しになりますが、“暴力”が起こり、職員が離職すると、人手不足になります。すると、支援できる時間が減り、サービスの質も低下する。その結果、利用者さんの満足度も下がっていくでしょう。私たちは利用者さんの生き方に寄り添うために、在宅訪問サービスを行っています。そして、これからもずっと続けたいと思っているのです」
将来、自分や自分の家族が住み慣れた町で、その人らしく暮らし続けるためには在宅におけるセクハラや暴力の実態を知ることが必要だ。そして、この問題を正面から受け止めることが、将来の私たちの生活を豊かに支えてくれる貴重な医療・介護資源を守る一歩につながっていく。
<取材・文/高垣育>