検察側は「常習的で悪質、計画的で残虐な犯行。駆除目的とは考えられない。猫を虐待することに楽しみを覚え、再犯のおそれもある」と、懲役1年10か月を求刑した。
一方、弁護側は猫への嫌悪感が重なったことに事件の発端があり、過激な虐待動画が正常な判断を失わせたと強調。贖罪の気持ちやほかの事件の判決事例との比較を訴え、執行猶予を求めた。
公判後の被告の実家と自宅はーー
判決は12月12日。被告は、傍聴席に背を向け、視線を向けることはなかった。動物関係の法律に詳しい大本総合法律事務所の石井一旭弁護士は、
「被告は初犯、刑が3年以下なので実刑の可能性は低い。執行猶予がつくことは次に何かすれば今回の刑も加算されますし、悪いことはできないという鎖をつけることです」
公判後、被告の実家を訪ねた。門は閉ざされ、この家にひとりで暮らす母親から話を聞くことはできなかった。
古くから近隣に住む男性は、
「大矢被告はお母さんと顔が似ていて、逮捕されたときも昔の面影がありました。私は子どもたちを連れて遊びに来ただいぶ前に会ったきりです」
大矢被告の母親を知る近隣の女性は、中学生のころの被告を覚えていた。
「礼儀正しい普通の子でしたよ。お母さんが“息子はお役所に勤めている”ってうれしそうに言うのをだいぶ前に聞いたことがあります。自慢の息子さんだったようです」
現在、被告は無職で就活中。
「大矢氏は10月に税理士を自主廃業しました。私たちが処分したわけではありません」
と、関東信越税理士会の担当者は話す。被告の自宅近くに住む女性は、
「今は家族と一緒に住んでいるみたいでベランダに洗濯物が干してあるのを見ます。家族はどんな気持ちで接しているんでしょうね」
被告を知る人物はこんな発言を聞いていた。
「駆除だった、と自分の正当性を主張していました。話し方も上から目線で反省しているのか半信半疑でしたね」
事件が社会や家族に与えた影響は大きい。