東日本では貴重な存在となったカール

 1968年の販売開始以来、約50年の歴史を持つロングセラーのスナック菓子『カール』。衝撃のニュースが流れたのは5月のことだった。

 販売元である明治は「8月生産分をもって東日本での販売を終了、“チーズあじ”“うすあじ”のみを西日本で販売する」と発表した。具体的な境界線は滋賀、京都、奈良、和歌山より西側。そこより東側では今後、カールを買うことはできなくなったのだ。

 明治の担当者によれば、「実は長期的に販売規模が低迷しており収益性の確保が難しいことから完全に販売を終了せざるをえない状況でした」

 と明かす。同じような食感のコーン菓子『うまい棒』に脅かされたのでは、と推測した記者が事実を尋ねると、

「その理由はありません。ライバルはポテトチップスなどポテト系スナックです。でも、カールをどうにか残したいと考えた結果がエリア限定をした販売縮小です」(同・担当者)

西側に仕入れルートがある

 そこで、カールを販売できるエリアでその境界線にいちばん近い店を調べた。ギリギリセーフの最東端は滋賀県米原市と判明。同市のドラッグユタカ365店の担当者は、

「うちの店には隣県から買いに来る人はいません。一時は品薄になりましたが、今はお客様も冷静に購入しています」

 さらに同店の場所が販売の境界に近いことを伝えると、

「まあ端っこといっても、うちも西日本ですから」

 と安定供給可能な西日本の余裕をのぞかせた。

 前出・明治担当者は、

「西日本のみでの販売はプレミアム感を持たせるなどの意図はありません。製造が四国の工場なので、物流など総合的に検討し、収益性の確保が何とか可能なエリアが西日本だったというだけです」

 騒動から約3か月、東日本の菓子売り場からは完全にカールが消えた。と思いきや、売っている店が残っていた。

 首都圏の大型量販店。担当者は、「本社が関西なので西側の物流を利用しており、関東でも販売可能」と説明。

 福井県高浜町のサニーマート南店はギリギリアウトなのに騒動前と変わらず定番商品として販売している。

「仕入れ先が京都の問屋なのが理由です。ほかの市町村から買いに来る人もいます」

 と、佐久間司公店長。関東や東海でも販売店を確認できた。共通点は「西側に仕入れルートがあること」だったが、

「東日本の販売状況は私たちも全く把握できていませんが、特に目立った影響はありません」(明治担当者)

 東日本での販売再開も、

「可能性はありません」(同)

 カールを東日本で口にするのは貴重なことのようだ。