目次
Page 1
ー ゲイビデオ出演でドラフト指名を回避された元プロ野球選手も
Page 2
ー 野獣先輩人気は中国政府へのささやかな反抗!?

 日本のゲイ向けアダルトビデオ『真夏の夜の淫夢』がアジア圏の一大ネットミーム(インターネット上で拡散される文章や画像、動画などのコンテンツや、そのコンテンツが拡散される現象)になりつつある。

 日本で生まれてしまったネットミーム『淫夢』が、なぜ海を渡ったのだろうか。

 『淫夢』とは、ゲイ向けアダルトビデオ『真夏の夜の淫夢』および、その他のゲイ向けポルノコンテンツを(主に)ゲイではない人たちが、そのセリフ回しや喘ぎ声などを「面白いもの」として二次創作化・ミーム化されたものの総称を指す。それらのゲイ向けポルノの登場人物は「淫夢ファミリー」と呼ばれる。

ゲイビデオ出演でドラフト指名を回避された元プロ野球選手も

 そもそも、この『真夏の夜の淫夢』が日本で有名になったきっかけは、元プロ野球北海道日本ハムファイターズ投手の多田野数人氏が大学時代にこのビデオに出演、それが2002年に報道され、ドラフト指名を見送られ大騒動になったことである。

元北海道日本ハムファイターズ、多田野数人氏(チーム公式サイトより、写真はコーチ時代のもの)
元北海道日本ハムファイターズ、多田野数人氏(チーム公式サイトより、写真はコーチ時代のもの)

 この『真夏の夜の淫夢』の別の出演者の一人に通称『野獣先輩』(通称の由来はビデオの内容などから来ているらしい、多田野氏と共演はしていない)という人物がいるが、近年では海を渡り、中国・台湾で多田野氏を凌ぐ知名度になっているという。

 国際政治研究者でフォロワー2万5千人を持つ佐々木れな氏が、《なぜ中国人はあんなに野獣先輩好きなの? 研究者仲間でも、月一で野獣先輩の雑コラ送ってくる人いるんだけど。なぜ?》とXにポストしたことがきっかけで、中華圏での「大バズ」がクローズアップされている。一説によると「中国のネットユーザーで知らぬものはいない」とも言われているほど。

 このブームは数年前から起こっており、中国版YouTubeとも言われる同国最大手の動画サイト『bilibili』では、トップ画面に毎日何かしらの形で野獣先輩の顔写真を使ったサムネイルが出てきた時期もあり、ミームを知らない人でも「何らかの形で顔は知っている」という状況になっているという。