「活字離れ」の言葉とは裏腹に変化し、多様化する読書。今後、どうなっていくのだろうか?
前出の永江さんは、
「これまで70代以降は読書率が低くなっていますが、デジタルに慣れた世代が高齢化すると、スマホなどでの読書率は高くなるかもしれませんね」
と予測し、こうも見解を述べた。
「例えば、スマホなどは最近発売された『広辞苑』7版に言葉が載っていますが、’08年発売の6版には載っていません。10年間で現実はすごく変化していますが、それでも『広辞苑』の信頼性は揺らいでいません。本は、さまざまな人の手を経て検証されたひとつの正典(カノン)であり、ある確からしさを持っています。そういう基準を自分の中に持っていると、困ったときに役に立つはずです」
中泉さんは、「読書は、読むうちに自分の中に堆積していくもの」と話す。
「読んでいくうちに、読む前の自分に見えなかった風景が見えてくる。だから、ゆっくりと読み続けてほしいです」
そして、猪谷さんは「読書は人と人とをつなぐコミュニケーションツールです。その役割はこの先も変わらないと思います」と言う。
さまざまな“読書”の取り組みが、あなたの読書スタイルを大きく変えるかもしれない。
<教えてくれた人>
永江朗さん◎ライター。ルポ、書評、インタビュー、評論など多岐にわたり活躍。著書『小さな出版社のつくり方』など。
中泉淳さん◎JPIC(一般財団法人出版文化産業振興財団)事務長。「読書アドバイザー講座」などで読書活動に携わる。
猪谷千香さん◎ジャーナリスト。全国の図書館を丹念に取材。著書『つながる図書館』。『町の未来をこの手でつくる』など。