タレントの大竹まこと(68)の長女が大麻取締法違反(所持)で逮捕された件。“公人発言”で芸能マスコミを煙に巻いた大竹のやり方が、もやっとした空気を残している。
逮捕のニュースが流れた翌日、大竹は会見に応じた。
「あの会見は、かなり戦略的でした。大竹のうまさが、芸能リポーターを上回っていた」とスポーツ紙記者。
「自分は公人と位置づけ、娘は一般人だと線引きをした。さらに、娘のことを聞こうとするリポーターに対して『話せとおっしゃるのなら話しますけど』と、決定権を丸投げした。かなり高圧的でしたね。もし、リポーターが聞かせてください、と食い下がれば世間の非難を浴びることになりかねない。それを計算したうえでの、大竹の作戦ですよ」
結果的に取材陣は、質問を封じられた。長女の属性については、何も踏み込めなかったからだ。
大竹=公人、という定義も、あいまいなままだ。
広辞苑によれば「公人」は「公職にある人」。公務員や議員のような存在であれば「公人」となる。ところが大竹は、そうではない。芸能人であり有名人だが、そのことと「公人」は重ならない。
大竹が一般人と定義した娘(報道では会社員)が、はたして一般人であるかどうかについて、メディアは大竹の言い分を信じるしかない。
女優の高畑淳子の息子(俳優)が強姦致傷容疑で逮捕されたことがあったが、もし息子が一般人であれば守られるというのが“大竹理論”だ。
以前、司会者のみのもんたの息子が、窃盗容疑で逮捕されたことがあった。テレビ局勤務の一般人だったが、みのは報道番組降板を余儀なくされた。
高畑もみのも、多くを失ったが、大竹は、会見の当日以降も、ラジオのレギュラー番組を続けている。
大竹まことの会見でメディアが投げかけるべきだった質問は「公人というのは、どういう意味でしょう。なぜ大竹さんは公人なのですか」だったはず。
大竹が定義した「公人」「私人」の線引きによって、大竹は娘を守り通すことができた。
「父親としては大成功の会見だったと思います。今後、芸能人の子どもが罪を犯した際、大竹のケースが前例になれば、子どもについては何も聞くことができなくなります。その子が、テレビ局勤務や広告代理店勤務であっても、です」(前出・スポーツ紙記者)
どちらにしても、芸能人の親子、その報じ方に新たな迷いを生じさせた会見だった。
<取材・文/薮入うらら>