全員無職、両親の年金生活
引っ越し当時、近隣住民のもとへ、きちんとあいさつに訪れていたという。
「昨年2月ごろに引っ越してきて、お父さんと息子さんがあいさつに来ました。“よろしくお願いします”って」
そう振り返るのは近所に住む60代の男性だ。
「息子さんも腰が低くて、悪い感じは全然しませんでした。ただ、普段のお付き合いがあるわけではなく、車で出入りするときにあいさつする程度でよく知らないんです」
無職の父母と、無職の息子の、近所との交流を避けるような暮らし。生活費は、
「年金を受給していたようです」(前出・捜査関係者)
周辺の情報によれば、物件の家賃は月々5万円強。駐車場付きで、そこには家族でいつも乗っていたという四輪駆動車が、今も止められている。
近隣の50代女性は、車で出かける親子を見かけたことがあるという。
「よく3人で、駅前のスーパーとかに買い物に出かけていましたね。病院の送り迎えなんかもしていたようですし、息子さんはよく面倒を見ていたと思います。お母さんは助手席、お父さんは後部座席と決まっていて、たくさん買い物をしていましたね」
その一方でご近所には、家の中で怒鳴り合う親子の声が聞こえることもあったという。
「引っ越してきた当初は笑い声が聞こえたりして仲のいい感じでした。でも数か月たつと毎日のようにお父さんと息子さんがケンカをするようになって。“うるせえよ”とか“わかったよ”と叫ぶ息子さんの声が聞こえて。お母さんが“やめて、何でケンカするの”と仲裁に入る感じでした」
ご近所付き合いもなく、ほぼ終日3人で顔を合わせていれば、息も詰まる。ケンカの原因として取材の過程で明らかになったのは借金だ。