うつ病の人への対応もアドバイス
本の中では、うつ病の人への声がけについても触れられている。
「“うつ病の人に頑張ってと言ってはいけない”というような話がありますが、私自身は“頑張って”と言われてイヤな気分になったことはありませんでした。頑張ってという言葉の中に、“あなたが本当によくなるまで待っている” “応援している”という意味が含まれているのがわかれば、素直にありがたいと受け取れます。“うつ病の人だからこういう言葉をかけないといけない”と深く考えるのではなく、“大変だよね”“お大事にね”と寄り添う言葉をかければ十分だと思います」
丸岡さんがうつ病で苦しんでいるとき、夫で映画評論家の有村昆さんの対応にも救われたという。
「当時はまだお付き合いはしておらず友人という関係だったのですが、うつ病だと伝えると、“誰でもなるもんだよね”と、こっちが拍子抜けするくらいさらっとした対応だったんです。大げさに騒がれるのが辛かったので、彼の言葉に気持ちがラクになりました。また彼の家に行くと、うつ病の本がたくさんあって、私の病気を理解しようと勉強してくれていたことがわかり、ありがたかったです」
うつ病の人に「死にたい」と言われたら、周囲はおろおろしてしまいがちだが、そのときの対応にもポイントがある。
「うつ病で自殺願望がわくのは普通のこと。風邪でせき、鼻水が出るのと同じなんです。自殺という行動をとらせないようにすることは大切なのですが、“死にたいなんてとんでもない考え方だ”とうつ病の人を否定すると、“わかってもらえない”という気持ちが強くなってつらくなります。“死にたいくらいつらいんだね”と共感し、“死にたいと思うのは、うつ病だから大丈夫”と言ってもらえると安心します。本の中には、こういった、うつ病の方への対応に悩んでいる家族の方にも役立つことも盛り込みました」