対局に持ち込んではいけないものは?

 カンニング防止策のため、'16年末からスマートフォンなどの電子機器の持ち込みはNGに。対局中の外出も禁止になった。

「カンニング行為とみなされるもの、そしてマナーに反するもの以外であれば基本的に何を持ち込んでもいいんですよ。“マイ空気清浄機”を持ち込んだ棋士には驚きましたけど(笑)」(青野九段)

 栄養補給程度の食べ物の持ち込みもOK。加藤一二三九段は、対局中に板チョコを10枚(!)食べたことも。無類のお菓子好きとして有名だったそう。

トイレや食事休憩の時間はどうなっている?

 対局中にトイレに行くことは可能。ただし、その間に相手が指した場合、戻ってくるまでの時間は、自分の持ち時間(対局に使用できる時間限度)から差し引かれる。

 食事時間は、先述した外出禁止により、いったん対局を休止し、室内で昼食休憩を取るようになった。

出前じゃなくてお弁当持参でもいい?

 

 もちろん自前のお弁当でもOK。ちなみに、出前を頼む場合は、出前可能なお店が列記された専用のメニュー表があるのだとか。東京の将棋会館を訪れる機会があれば、『みろく庵』の豚キムチうどんや味噌煮込みうどん、『ほそ島や』のチャーシューメン、『ふじもと』のうな重、『紫金飯店』の五目やきそばなどを食べると、棋士の味を体験できるはず!

 また、プロ棋士の中には、1回の対局で体重が2〜3キロ減ってしまう人もいるとか。ゆえに、エネルギー補給でがっつり昼食を食べる人が多いのだ。

おやつタイム?

 カーリングではなく、将棋のお話。タイトル戦に限っては、おやつタイムが設けられていて、好きな飲み物やケーキなどを頼める。9時に対局が始まり、10時におやつタイム。12時〜13時は昼食休憩。15時には2回目のおやつタイムといった具合。例えば、2月24日の棋王戦では、渡辺明棋王はフルーツ盛り合わせ+ホットコーヒー、永瀬拓矢七段はバナナ(2本)+フルーツ盛り合わせ+いちごタルトケーキ+ホットコーヒーをオーダーした。かなりボリューミー!

中高生棋士、学校はどうなっている?

 藤井六段は、国立の名古屋大学教育学部附属中学校に通っているため、対局が平日の場合は、学校を欠席することに。私立であれば事情を考慮してくれる学校はたくさんあるが、国公立となると難しい。

「同じく中学生でプロ棋士となった羽生永世七冠は、公立高校に進学。しかし、将棋との両立が難しくなり、通信制高校に転入。その後、しっかり卒業しています」(松本さん)

プロがコンピューターに負けたって本当?

 8大タイトルに昇格する前、叡王戦の勝者である叡王は『電王戦』でコンピューターと対局してきた。昨年は、佐藤天彦名人が将棋ソフト『PONANZA(ポナンザ)』に敗戦、大きな話題を呼んだ。

将棋ソフトの質は年々向上しています。膨大なデータを自動解析して正確な判断をする基礎を作り、そのうえで実戦の場では瞬時に数億手も読む。感情がないので、精神的な動揺から起こるミスもない。文字どおり人知を超えています。羽生永世七冠や藤井六段といえども勝つのは難しいでしょう」(松本さん)

イラスト/えきもとえみこ