業者も、そのあたりを熟知しているようで、前出の池田さんが利用しているサイトを運営する「A」社は、
「こちらはサポートセンターなので、個別で場を提供しているだけ。占いの内容には一切関与していません」
と木で鼻をくくるような対応。取材申し込みを書面で送れと指定された住所は、誰もいないレンタルオフィス……。実態が不透明なのだ。
泣き寝入りをせず、返金を求め業者を訴える裁判も各地で行われている。そのひとつで原告の弁護を行う埼玉中央法律事務所の担当弁護士は、
「現在、長野県の40代の女性、埼玉県の30~40代の女性、そして東京で同一業者のサイトによる被害が発生し、裁判になっています。サイト内で鑑定をしてメールでやりとりする点が一緒です」
彼女たちと前出・池田さんに共通する点は「悩みを抱える中で占いサイトを利用し、のめり込んでしまった」こと。
「サイトを続ける人は律義な人が多い印象です。自分のために祈ってくれるから応えたい、お金をつぎ込んだからもったいないなどの声を聞きます」(前出・弁護士)
来月、判決が出るという長野のケースでは、女性がサイトで使った400万円の損害賠償を請求しているという。業者の対応について、前出・担当弁護士は、
「うちは悪くない、の一点張りです。鑑定というかメールを返すことはやっているし、サイト自体が占い鑑定を提供する場で、その義務提供はきちんとしているでしょ、サクラサイト詐欺のようにサクラがいて、うそのやりとりをしているわけじゃない、という主張です。自分たちの非は認めていませんが、利用者に使わせる金額は社会的許容限度を超えています」
警視庁生活安全総務課によると昨年1年間で、警視庁管内で受理された占いに関する生活安全相談は30件。
被害に遭わないためには、
「怪しいサイトには行かない。そのつど、課金されるシステムは疑いましょう。電子マネーを使った支払い方法には気をつけたほうがいいです。誰が受け取るのかわかりませんから、業者の特定が困難なんです」
とサクラサイト被害対策弁護団の担当弁護士は呼びかける。さらに強い口調で、
「新しい被害が出る前につぶしていくことです。警察も国民生活センターも弁護士も救済できない、難しい、では、この問題はなくなりません」
と訴える。
顔の見えない相手をむやみに信用しないことだ。