今回のご訪問に、島民は感動していたというが、その中でも特に思いを馳せていたのは、'86年に与那国島の海底に壮大な遺跡を発見した新嵩喜八郎さん(70)。
この海底遺跡を9年の歳月をかけて調べた全貌が、'95年にさまざまな新聞の1面を飾ったのだ。
そして今年、30年間撮りためてきた写真をまとめた写真集『神々の棲む海』を作製したそうなのだが、これが美智子さまの目にとまったという。
「海底遺跡や島の風景などを盛り込んだ40ページほどの写真集なのですが、今回の与那国島ご訪問にあたり、資料として両陛下のお手に渡ったのだと思います。
それをご覧になった皇后陛下が、“素晴らしいお写真ですね”とおっしゃっていたと人づてに聞きました。
さらに今回、与那国島でおふたりが食事をされているときにも“与那国の海底遺跡はどうなっているのですか?”と、興味を持たれていたそうです。とてもありがたく、喜ばしいことだと感じています」(新嵩さん)
沖縄本島から500キロ以上も離れた与那国島に、両陛下がいらっしゃったことには特別な意味があると話す。
「両陛下が足を運ばれたことは本当にうれしくて、これで与那国島も本当の意味で“本土復帰”を果たしたと感じました。
島民もみな、たいへん喜んでいて、両陛下としては最後だったと思いますが、在位中にいらっしゃったことは、日本人として涙が出るほどうれしかったです」(新嵩さん)
'45年に沖縄本島に上陸した米軍との地上戦は、熾烈を極めた。
戦後も苦難の道を歩み、米軍施政下から本土復帰を果たしたのは'72年のことだが、両陛下の与那国島へのご訪問は1度もなかったのだ。
今回の与那国島訪問は、島民にとっても“悲願”だったにちがいない。
「両陛下は日ごろから国民のことをお考えになっていますが、とりわけ遠方の島々に心を砕かれています。
日本各地の離島を訪問することで、おふたりがかねてから願う“国民統合”を果たそうとされているのでしょう。
今回の日本最西端にある与那国島へのご訪問もその一環でしょうし、島民もさぞ胸を打たれていると思いますよ」(渡邉さん)