その点、今回の会見は、「自分の人生を事務所まかせにしない」という姿勢が見えました。「会見しない」という事務所のカラーではなく、「全員が一人一人の言葉で伝える」という自分たちのカラーを優先したように見えたのです。
先日、中居正広さんが自身のラジオ番組で、新しい地図(稲垣さん、草なぎさん、香取さん)の楽曲を流し、「これは売れないな」と愛情たっぷりのコメントをするひと幕がありました。岡田さんと森田さんが離婚歴のある女性と結婚したこと、二宮和也さんに同じ女性との2度目の熱愛報道があったことなど、かつてなかった状況が続いています。
もしこれらが自立心の表れによるものなら、今後もジャニーズ事務所のタレントによる結婚や退所の発表が見られるかもしれません。事務所サイドは、それに対応すべく、これまでとは異なる柔軟なマネジメントが求められていくでしょう。
今後は渋谷すばると関ジャニ∞が競合相手に
今回の主役である渋谷さんに話を戻すと、「自分の人生を懸けたい」と語っていたように、音楽と向き合う姿勢は並々ならぬものがあります。
ただ、ビジネスである以上、ジャニーズ事務所が競合相手となる渋谷さんの音楽活動を妨害しないとも限りません。無情に思うかもしれませんが、これは「ビジネスパーソンが同業界で独立したとき、辞めた会社から横やりが入る」という状況と同じであり、珍しいことではないのです。
しかし、ネットの発達でタレントは衆人環視のもとに芸能活動できるようになりました。もし元所属事務所の妨害がわかったら、ファンはもちろんのこと、不特定多数の第三者が批判の声をあげてフォローしてくれるのです。応援や批判の声が可視化された時代だからこそ、タレントたちが「頑張れば何とかなるかもしれない」という勇気を得やすくなっているのは間違いないでしょう。
また、第三者の目線として見逃せないのは、「ジャニーズ事務所を退所した稲垣さん、草なぎさん、香取さんのほうが、残留した2人よりも自分のやりたいことをやっていて生き生きとした姿に見える」というイメージ。
決して渋谷さんがその姿に影響されたということではありませんが、一般層の目にそう見えることで、所属タレントたちの頭に「グループ脱退」「事務所を退所」という選択肢がよぎりはじめてしまうのです。事務所としては、早期のイメージ回復を図るとともに、新たなスターを作っていくマネジメントが必要でしょう。
その意味で、「脱退した渋谷さんのほうが充実している。幸せそうに見える」と思われないために、関ジャニ∞のメンバーたちは必死で頑張るはず。その頑張りを見たファンもサポート意識を強めることが予想されますし、むしろグループは今まで以上に発展する可能性を秘めているのです。