寂しさや孤独をこじらせると死につながる!?
“うさぎは寂しいと死んじゃう”という都市伝説は有名だけど、人間も……!?
「ホント。シカゴ大学の研究では、死につながりやすくなると言われています」
と植田先生。家族や地域との関係が希薄で、他人との接触がほとんどない状態を「社会的孤立」と言う。睡眠不足や血圧上昇、ストレスホルモンの上昇といった健康状態の悪化を招きやすく、幸福感を自覚しにくい。結果として、死亡リスクが高くなるそうだ。
そうした問題によって、イギリスでは年間4・9兆円の経済的損失があるとして今年1月、孤独担当大臣のポストを設けたほど。
「日本の場合、家族と一緒にいる高齢者のほうが、ひとり暮らしより孤独感が強いとのデータがあります」
孤独の背景はさまざま。経済的な困窮もあれば、家族介護で大変な人もいる。
「結婚しない人が増えて家族も多様化するなか、社会的孤立をどう捉えて対応していくかが今後、重要になってくると思います」
かゆみが続くと記憶力が低下する?
ただでさえつらいかゆみ。長引けば、こんな影響もあるそうで。
「ストレスによる慢性的なかゆみが続くと、脳に影響を与えるという研究報告があります」(小川先生、以下同)
ストレスで生じた慢性的なかゆみは、脳の記憶にもかかわる大脳辺縁系に影響を与える可能性がある、とアメリカのウェイクフォレスト大学が報告している。
「大脳辺縁系にある海馬という組織は記憶に関係していて、長期にわたるストレスを受けると細胞が壊れると考えられています。ですからホント。
脳とかゆみの関係について、かつては未知の領域と考えられていましたが、解明が進んできています。今後、さらに脳との関係が解き明かされていくことでしょう」
さっそく健康常識を取り入れて、元気な毎日を!
〈お話を伺ったのはこの2人〉
植田美津恵先生
医学博士、医学ジャーナリスト。愛知医科大学客員教授、東京通信大学准教授。各大学にて教壇に立つほか、医学番組の監修、テレビコメンテーター、講演活動を行う。近著に『忍者ダイエット』(サンドランチ)
小川 徹先生
皮膚科専門医。早稲田大学招聘研究員。元慶應義塾大学研究員。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校、英ロンドン大学セントトーマス病院などで国際的に活躍中。医学博士のほかMBA、公共政策の修士号を持つ