糖尿病で食事や運動に気をつけていても血糖値が下がらないときは、周病を疑えといわれているほど。

 さらに、周病の毒素には、血糖値を一定に保つ働きがあるホルモン・インスリンの効果を阻むものがある。これも糖尿病を悪化させてしまう原因につながる。

 また脳卒中や狭心症、心筋梗塞などの病気ともかかわりが深い。

「こうした循環器疾患の発生率は、周病が重症化した人の場合、そうでない人に比べて1・5~2・8倍も高いことが研究でわかっています」

 循環器疾患の原因となる『アテローム性動脈硬化』は、コレステロールなどが血管の壁についてアテローム(かゆ状の塊)を作り、血管が硬く狭くなることで発症する。

 そのアテロームから、周病菌が発見されたという複数の報告がある。心臓病の人では、心臓の内膜や弁膜から周病菌が発見されている。

骨にまで影響

 オーバー40の読者世代で気をつけたいのが、骨粗しょう症とのかかわりだ。

周病が出す毒素は骨の新陳代謝に影響を及ぼします」

 骨粗しょう症の人が周病になると、槽骨がもろくなり、悪化しやすいといわれている。

歯槽骨が減っている場合は再生治療も
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「40~50代の女性の中には、そろそろ孫が生まれるという人もいるでしょう。実は、周病菌は早産を引き起こす原因にもなります。周病菌のなかには、陣痛を起こすホルモンの分泌を誘発するタイプがあるからです」

 気づかぬ間に、自覚なく全身の病気に影響を与えている周病。

周病による全身病の症候群を、私は『ペリオドンタルシンドローム』(周病に関連した全身疾患症候群)と名づけ、全身の健康管理のひとつとして位置づけています」

 ぺリオドンタルシンドロームには死にいたるような恐ろしい病気が含まれている。まだこの中には分類されていないものの、やはり周病との関係が指摘されている病気がある。日本人の2人に1人がかかり、3人に1人が亡くなるといわれるがんだ。

 米バッファロー大学の研究によると、周病の女性はそうでない女性と比べ、食道がんになるリスクが3倍高かったという。