また、肺腫瘍では31%、悪性黒色腫(メラノーマ)では23%、胆のうがんや乳がんでは73%もリスクが高まっていたことも報告されている。
加えて喫煙者である場合、さらに悪影響が。乳がん、肺がん、胆のうがんのリスク増が確認されたそうだ。
「この調査結果だけでは、歯周病ががんを誘発しているとは断言できません。しかし今後、さらなる研究がされて、その関連性が確認されると思います」
また、認知症の6割を占めるとされるアルツハイマー病への影響も取りざたされている。
九州大学の研究グループが昨年発表した報告では、マウスに歯周病菌の毒素を5週間にわたって注射したところ、認知機能が低下。脳に炎症が起きて、アミロイドβというタンパク質がたまっていたという。アミロイドβはアルツハイマー病の原因になるといわれている。
「歯周病がもたらす悪影響は多岐にわたりますから、今後さらに、さまざまな疾患との関連が研究されることでしょう」
あなたは大丈夫?
歯周病進行度セルフチェック
・歯肉がときどき赤く腫れる ・歯肉がむずむずしてかゆい ・歯が浮いた感じがして腫れぼったい ・冷たいものがしみる ・歯をみがくと歯肉から出血する ・下の前歯の裏側に歯石がついている(ざらざらした感じがする) ・朝起きたとき口の中がネバネバする ・歯肉を押すと血や膿が出る ・口臭を指摘された・自分で臭いと感じる ・「サ行」の音が発音しにくい ・歯と歯の間に食べ物がはさまりやすい ・歯を押すとぐらぐらする(★) ・歯肉が下がり、歯が長くなった感じがする(★) ・以前とは歯並びが変わったような気がする(★)
上記の14項目のうち、あてはまるものが
0〜2個:健康な歯、歯肉
3〜4個:歯周病の可能性あり
5個以上:歯周病である可能性がきわめて高い
★がついている項目すべてが該当:重症の歯周病である可能性が非常に高いので、すぐに治療をはじめて。
出典『日本人はこうして歯を失っていく 専門医が教える歯周病の怖さと正しい治し方』日本歯周病学会、日本臨床歯周病学会・著(朝日新聞出版)
【この3人に伺いました!】
若林健史先生
歯科医。若林歯科医院院長。長年、歯周病治療に従事し、つねに最新の治療を行う第一人者。日本歯周病学会理事、日本歯周病学会専門医・指導医、日本臨床歯周病学会副理事長
坂本紗有見先生
矯正歯科医。銀座並木通りさゆみ矯正歯科クリニック院長、日本矯正歯科学会認定医。30年近く矯正一筋のプロ中のプロ。ていねいで熟練した腕前の治療が好評。
遠山敏成先生
歯科医。マイスター春日歯科クリニック院長。「日本顎咬合学会学術大会」において優秀発表賞を受賞。最新技術を取り入れた治療が好評。