老後に備える見直し術
「国民年金保険料を払わずに民間の個人年金に頼ろうとする人がいますが、大間違いです。公的年金の老齢基礎年金は約10年、受給すれば保険料の元が取れ、その後も生涯もらい続けることができるので、とてもスグレモノなんです。
満額もらえるよう、まずは公的年金の充実から優先してみてはいかがでしょうか?」(横川さん)
では、公的年金を補うために個人年金に加入するのはどうだろうか。
「バブル期に加入した個人年金は、予定利率が高いままなので、そのまま持っていてOK。最近のものは予定利率が低く、そもそも販売中止になっているものがほとんどなので、これから加入するのは現実的ではありません」(長尾さん)
そのかわりに目立つのが、外貨建て個人年金をすすめる保険会社や銀行の動き。これについては、長尾さんも横川さんも否定的な意見だ。
「外国為替相場の変動によって損益が生じる“為替リスク”があるのでおすすめできません。受取時に円高だと損をする可能性があります」
と声をそろえる。
「老後資金を貯めるなら、個人年金よりも貯蓄や投資、iDeCo(個人型確定拠出年金)などがおすすめ。とくにiDeCoは、運用益が非課税だったりと、節税効果によるお得度も高いんです」(横川さん)
「介護や認知症も心配でしょうが、これらをカバーする保険は、条件が厳しいものもあるのでイマイチです」(長尾さん)
進学に備える見直し術
「いま販売されている学資保険は、多くが元本割れを起こします。貯金だとどうしても使い込んでしまう人以外は加入しないほうがいいでしょう」
と横川さん。
ならば、将来の進学に、どうやって備えたらいい?
「まずは、児童手当は使い込みを防ぐために、生活費用の口座ではなく、教育費用の口座に振り込むよう手続きをすること。長年貯めていくうえで、インフレや株式市場の混乱などさまざまなリスクに対応できるよう、複数の方法で運用します。
例えば、銀行の定期預金、積立NISAなどの投資信託、個人向け国債(10年)に分散。お金が必要になったら、そのとき運用成績がいいものから使いましょう」