「この作品を全国325館という大規模で公開するなんて、東映さんは狂ってます」
町田康原作の同名小説を映画化した『パンク侍、斬られて候』(6月30日より全国ロードショー)。監督は『狂い咲きサンダーロード』など前衛的な作品を撮り続ける鬼才・石井岳龍。
そんな石井監督に「君以外、考えられない」と直々にオファーをされたという綾野剛(36)が主演を務める。
「監督は作品にも役者にも真摯(しんし)。もし僕が引き受けなければ、この作品を映画化しないと言われたくらいです。この素晴らしい作品を世に打ち出すためにも、もちろんすぐに承諾させてもらいました」
'13年公開の映画『シャニダールの花』で初タッグを組み、今回で石井作品は3作目。それだけに監督との息もピッタリなようす。
「石井監督は演出方法も独特です。“綾野剛の全部をください”とか“ココは宇宙と戦って”といった指示をされるので、初めて仕事をする方の中には困惑する人もいると思います。ですので、“監督、もう少し具体的に指示をお願いします”と補足していました。そもそも、この作品が具体的ではないですが(笑)。本当に魅力的な方で、99%の人がそれは違うんじゃないかな? と思ったとしても、石井監督が信じるものに賭けてみたいと思わせる魅力しかありません」
人たらしな性格によって、大惨事を巻き起こしてしまうプータロー侍・掛十之進を演じたが、綾野自身も共演者たちを次々と虜(とりこ)にしてしまうことから、人たらしと呼ばれることも。
「僕はみなさんが思っているより冷たい人間です。好きな人にしか寄り添えない。誰でもかまわず仲よくなれるわけではありません」
とはいえ、人気アーティストから若手芸人まで、交友関係の幅はかなり広いですよね?
「いろんなジャンルに友人がいるのは、その人の実績や名誉を前提に向き合っているわけではないからだと思います。有名だから、結果を出しているからといって全員が素晴らしい人ではありませんし、別の職業の方々で魅力的な人はたくさんいますから」
そんな彼が仲よくなれる、なれないを見極めるポイントとは……?
「僕がその方の目を見て感じた主観なので、具体的な理由はありません。ただ、初対面の方に対して敬語が使えない人は違和感を感じます。僕は年齢に関係なく敬語を使うのが当たり前だと思っているので。まずは必ず敬語でご挨拶しています」