ご主人さまは車上生活
登記簿などによると、男性宅は1、2階合わせて約93平方メートル。土地・建物とも男性は所有しておらず、月約1万6000円の借地料を払っていた。ところが男性の居住実態はここになく、約5年前から渋いカラーリングの人気国産車で車上生活を送っていた。
保健所職員が男性と接触するのは容易ではなかったはずだが、携帯電話に連絡しても出ないなど不誠実な対応を繰り返したという。
家宅捜索時の室内のようすを捜査関係者が語る。
「強烈な糞尿のにおいが漂い床は抜け落ち、糞の塊や動物の毛が大量に堆積していた。そうした堆積物の中から白骨化した犬の頭蓋骨など22点を押収している。きわめて凄惨な光景だった」
かろうじて生存していた雑種犬が2匹いた。栄養不良で細菌性皮膚炎を発症していた。男性は、
「1月下旬に10日分のエサと水を与えたが、それからはあげていません。決して室内に閉じ込めていたわけではないし、保健所の立ち入りを拒否したわけでもない。急に来られても……」
などと容疑を一部否認。
一方、1月下旬にエサをあげたにもかかわらず、2月中旬に家宅捜索を受けるまでの短い期間ですべて白骨化するとも考えにくいが──。
「おそらく最後にエサや水を与えた時点で、すでに餓死や病死、共食いなどで死んでいた犬も多かったのではないか」(前出の捜査関係者)
裁判では男性の無責任なふるまいが明らかになった。エサをあげなかった理由について男性は、
「(エサを与えるため家に)帰ろうとしたが、犬の鳴き声が近所迷惑になると思い、ずるずると帰れなかった。本当は動物が大好き。かわいそうで申し訳ないことをしました」
と弁明した。