教育の一環として学校でウサギやニワトリなどを飼う動物飼育は、全国的に減少傾向にある。そんななか、触れ合いを通した学びの場としても、動物園・水族館は注目されている。
「宇都宮動物園のように、キリンのえさやり体験ができる遊園地的な楽しみを売りにしたところも評判。人間側だけでなく、飼育動物たちにもいい刺激になっているようです」
生き物を扱う施設に求められるのは、エンタメ的な要素だけに限らない。絶滅の危機にある野生動物の命を守り、次世代につなぐ役割も担っている。円山動物園(北海道札幌市)が来園者の目標数を掲げるのをやめて、学びと“種の保存”に力を入れる方針を打ち出したことは話題を呼んだ。
「種の保存で特筆すべき施設は、8月18日にオープンする新潟県長岡市の『トキと自然の学習館』。公開施設のチェックに出向きましたが、ここでは絶滅寸前のトキの人工飼育や、全国で分散飼育する取り組みが進められていました。多摩動物公園やいしかわ動物園、出雲市トキ分散飼育センターで飼育して、無事に育ったら佐渡に集め、選抜した個体を野生に戻すプロジェクトです。すでに動物園生まれの個体は200羽以上はいるはず」
分散飼育をすることで、鳥インフルエンザなど感染症による絶滅のリスクを低減できる。
子どもの自由研究のネタ探しに出かけるのもよし、生き物との触れ合いを体験するのもよし。
小宮輝之さん◎多摩動物公園の飼育係、元上野動物園園長。著書に『いきもの写真館2 シマウマのしまはサカナのほね』など多数。