さらに、SNSやインターネットテレビ、動画配信サービスなどが普及し、テレビ出演を制限されたところで、その効果は限定的に過ぎません。

 むしろ、「テレビ局がジャニーズ事務所への忖度(そんたく)で3人の出演を見送り続けることで、イメージダウンはおろか猛烈なバッシングを食らいかねない」というリスクがあるくらいです。

 もう1つ見逃せないのは、「芸能人の独立・移籍に制限をかける行為は、『独占禁止法』に抵触するおそれがある」と公正取引委員会が調査に動いていること。当然、芸能事務所も、テレビ局も承知していることだけに、露骨な圧力や忖度はできない状況に変わりつつあるのです。

 さまざまな点から「芸能事務所への忖度」という不透明な商取引が限界に近付いていることが理解できるのではないでしょうか。そんな状況の下で、稲垣さんとフジテレビにひさびさの接点が生まれたのです。

 もともと稲垣さんは、フジテレビの連ドラ4作に主演したほか助演も多く、「ほんとにあった怖い話」も14年間にわたって出演。草なぎさんも、フジテレビの連ドラ13作で主演を務めたほか、「チョナン・カン」「僕らの音楽」「FNS歌謡祭」などでMCも務めました。香取慎吾さんも、フジテレビの連ドラ8作に主演したほか、「おじゃMAP!!」「笑っていいとも!」などに長年出演。

 SMAP時代の看板番組「SMAP×SMAP」を放送していたことも含め、フジテレビは、どの局よりも3人を起用していました。そんな過去を振り返ると、双方に「リスタートはフジテレビから」という思い入れがあったとしても不思議ではないのです。

ドラマが支持されはじめたフジテレビ

 一方、2010年代に入って激しくなっていたフジテレビへの批判は、ようやく収まりつつあり、視聴率も下げ止まりの感があります。

 その要因となっているのは連ドラの好調。現在フジテレビがプライムタイム(19~23時)で制作している連ドラは、「月9」(月曜21時~)と「木曜劇場」(木曜22時~)の2本(火曜21時~は関西テレビ制作)ですが、昨年秋あたりからそろって視聴者の評判がいいのです。